「今年もシクラメンが咲いたよ」
15年くらい前のある日、私が出かけようと玄関を出ると「シクラメンが咲いた」と、外にいた母が嬉しそうに笑顔で言いました。
その頃の私は植物のことをよく知らなかったこともあって『時季が来ればシクラメンも咲くのだろう』と、特に感慨もなく思っていました。
当時の母は趣味の書道教室に通っていて、一緒に通う人から鉢植えの花を譲ってもらうことがよくあったようです。
その花を庭に植えたり、日の当たる玄関先に置いて世話をしたりしていました。
それが、母にも介助が必要になって戸建てからマンションに転居してからは、私も花の面倒をみることになりました。
マンションの南側のベランダに棚を設え、そこに鉢植えの花を置いて窓を開ければ花の世話をできるようにしておきました。
そんな環境で母は南向きの窓辺で日光浴をしながら、窓を開けて花の手入れをしたりすることもありました。
時々、母は気に入った花を摘んで小瓶に挿し、居間のテーブルの上に置いて楽しんだりしていました。
そんな母の姿を見て、私も季節の旬の花をホームセンターで探して買って来ることが楽しみになってきました。
少し花のことに詳しくなってきた私は、冬が近づくと店頭に並ぶシクラメンを何回か買ってきたこともあります。
現在のウチの鉢植えのシクラメンは母が世話をしていたものではありませんが、今冬も葉が生えそろい今にも花が咲きそうになってきました。
もう少しで「今年もシクラメンが咲いたよ」と、母に報告できそうです。
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