『こういう時間も捨てがたい』
4年前の2019年11月8日は晴れで20℃の金曜日、母が施設に4回目の入所をして103日目、午後4時5分ころ面会に行きました。
8月中旬ころから母が体調不良の日が多く、検査して塩分不足が指摘されたため、『ふりかけご飯』を食べ始めることになりました。
母はその『ふりかけご飯』をとても気に入って食事の量も増え、9月下旬には体調の良化が感じられるようになりました。
ただ、体調の良化に精神的な状態が追いつかず、気持ちの落ち込みはなかなか改善されずにいました。
それが10月に入ると精神的にも落ち着いてきて、母の口数も増えて、普通に笑顔が出るようになってきていました。
しかし10月も終わり頃になり、脚のむくみが少しずつ目立つようになってきて、私は『またそろそろ入院かな』と思い始めていました。
この日の母は食堂のいつもの場所で首を右に傾けて熟睡中で、私が「4時だよ」と声を掛けると母は「もうそんな時間?」と目を開けました。
この日も9階の面会室に行き、少し曇り空の暮れゆく夕焼けを見ながら話をしましたが、母は「面白いね、ずっと見ていると」と笑顔でした。
ただ、前日の診察で心不全の悪化が確認されたこともあってか、この日の母の話し声はひときわ苦しそうに私には聞こえました。
本人も自覚症状として感じてきたようで「今日は朝からハァハァしている」と言い、深呼吸をして「何か重いね」と首を捻っていました。
ついに自覚症状が現れて、母の体調はこれまでの入院前と同様な状態になり、私は『すぐ入院した方が良さそうだ』との考えはありました。
それでも、母はこの日も夕焼けを見ながら「わぁ、きれいだ」と歓声を上げていて『こういう時間も捨てがたいな』との思いもありました。
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