柵を掴む手を解く
4年前の2019年11月26日は曇りで9℃の火曜日、母が最後の入院をして16日目、私は前々日の夕方から病室で母に付き添っていました。
24日の夕方に面会に行くと、最初母は静かに眠っていましたが目が覚めそうになったときに突然苦しがり始めました。
同時にベッド脇の計器のアラームが鳴り出して看護師さんたちが来ましたが、初めて見た私は『大変なことになった』と、まず思いました。
驚いた私は、今にも母の命に関わるのではないかと考えて、姉のところに連絡をしたりしていました。
その間、苦しがっていた母に看護師さんは痰の吸引をしていて、母は違う意味で再び苦しがっていました。
その姿を見かねた私が看護師さんに相談すると、親族が付いて見守れば処置が変わるとのことで、突然私は母に付き添うことになりました。
25日には主治医に「パニック障害ではないか」と相談した結果、鎮静剤を使うことになりましたが、しばらく見守る必要がありました。
昼の時間帯は姉が来てくれたので、私は夜の母の様子を見ることになりましたが、既にこのころは眠っていることが多い状況でした。
24日の夕方に見たのは、母が目が覚めそうになったときに「息ができない」と言いながら苦しがる姿でした。
その後もしばらくそういった状況が続いて、目覚めた母は息苦しさでベッドの柵を掴むということの繰り返しでした。
ベッドの柵を掴んだ母の手に触れると、その手にはもの凄い力が入っていましたが、その力を解いてあげるのが私の仕事になっていました。
その効果もあったのか26日に付き添った時には、目覚めた時のパニック障害の症状は少しずつ治まり始めたか、という気がしました。
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