ベターな選択
4年前の2019年11月20日は晴れで15℃の水曜日、母が最後の入院をして10日目、午後4時ころ病室に面会に行きました。
このころ私は毎日、母の体調に不安を抱えながら入室していましたが、この日の母は仰向けの状態で目を開けていました。
母は何故か上機嫌で一方的に話をしてくれましたが、その内容は今ひとつ要領を得ない感じでした。
私はこれまでの経験から、いわゆる『せん妄』が始まったのかと思いましたが、母はこの日にあったことを一生懸命に話しているようでした。
どうもこの日は久しぶりに看護師さんたちと話をして盛り上がったようで、その余韻が冷めやらずにいたのだろうと思います。
姉が母の誕生日プレゼントに持ってきてくれた「ウサギのぬいぐるみに名前をつけようと看護師さんたちと話した」と笑顔で言っていました。
ただ、元気さは取り戻していましたが、あらためて母の顔や腕を見ると再びむくみ出している感じは否めませんでした。
心電図、血圧、酸素量はまずまずでしたが尿量が前日から増えていないのと、むくみのためか手を使って瞼を開いていたのが気になりました。
そして病院からの帰途、主治医から私の携帯に電話があり「利尿剤が効かなくなって、この3日で尿が100㏄しか出ない」ということでした。
続けて「点滴を外して人工透析を始めたい」と言う申し出がありましたが、この点に関して私は回答を保留させていただきました。
すると主治医は「それでは利尿剤を増やして、もう少し様子を見ましょう」と言い、そのまま利尿剤の点滴が続くことになりました。
今から思うと、わずか数分のこの電話が母のその後を決めたことにもなりますが、ベストではなくてもベターな選択だったと考えています。
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