「怖いよ、あれ」
4年前の2018年11月25日は晴れて16℃の日曜日、母が入院して17日目、午後4時頃に面会に行きました。
母はベッドに寝ながらラジオを聴いていて、おそらくもうすぐ始まる大相撲中継のために準備をしていたのでしょう。
母は「今日で終わりだね」と言いましたが、確かに相撲は千秋楽でしたが、もしかすると病院での生活のことだったのかもしれません。
そして私が挨拶代わりに母の手に触れると、母は「冷たい!」と大きな声を出し、この日の寒さに驚いていました。
母は横になったまま喋っていたので、鼻が詰まったような話し声でしたが、顔色は良くとても元気にたくさん話をしてくれました。
まず「ちゃんちゃんこを縫ってもらった」と、ポケットが取れかけていた愛用のちゃんちゃんこについて話し始めました。
見てみるとポケットが付いているだけでなく、母の名前と干支のウサギが刺繍してあり、看護師さんがやってくれたと微笑んでいました。
また私が「明日着るものを持ってきた」と言うと「カーディガンでいいね」と、退院の予定もしっかり把握していました。
それからリハビリの話もしてくれて、このごろは棒を握らずに板に手を置きながら歩く練習をしているそうでした。
「板でスルスル行くわけよ。怖いよ、あれ」と、いかにも怖そうな表情で率直な感想を述べていました。
また、数日前から施設で展示会が始まっていることを伝えると「今?見たいねぇ」と、とても楽しみにしていました。
帰り際に再び母の手を握ると、室温ですっかり温まった私の手を「温かくなった」と、母は笑顔で言ってくれました。
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