「そうだね、忘れちゃったよ」
4年前の2018年11月23日は晴れて空気の冷たい15℃の金曜日、母が入院して15日目、午後4時頃に面会に行きました。
母はベッドに横になって目を瞑っていましたが、私がその体をトントンと叩くとすぐに目を開けました。
どうもこの日はまだ便通が無く、母は少し気になっているようで、確かにお腹が少し硬くなっていました。
ただ、前日にたくさん出たということも話していたので、まだそれほど深刻な状況ではないかなと思いました。
食事は3度とも食堂に行ってしっかり食べているそうで、前夜も食堂のテレビで大相撲を楽しんでから夕飯を食べたということでした。
それでも私の「このところ寒くなってきたので、おでんや牡蠣鍋を食べている」という話には、母は羨ましそうにしていました。
また私がこの朝、仕事先で富士山を見たことを話すと「病院でも筑波山が見えるらしい」と母は言いました。
ただ、話として聞いてはいるものの「良く見えなかった」と言っていて、母自身はまだ見てはいないようでした。
次に外の寒さの話をすると、母も「お世話してくれる人の手が冷たいことで分かる」と言っていました。
その話を聞いて母の手に触れてみると、暖かいというよりも暑いくらいの手をしていました。
この日の最後にカレンダーを見せて「今日は11月23日だけど結婚記念日じゃないの?」と、私は母に尋ねました。
すると母は笑いながら「そうだね、忘れちゃったよ」と、少し気恥しそうに言いました。
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