私もあなたも元少年
いわゆる光市母子殺害事件の差し戻し控訴審の第12回公判が12月4日、広島高裁(楢崎康英裁判長)でありました。弁護側は最終弁論で、殺意や強姦目的を改めて否定し、傷害致死罪が適用されるべきだと主張しました。
さらに、少年法で死刑適用が認められる18歳から1カ月で犯行に及んだ点を強調した上で、精神的に未熟だった元少年が起こした「偶発的な事件」として、死刑回避を求めました。
裁判はこの日で結審し、判決は08年4月22日に言い渡されることになります。
昨日の弁護側の最終弁論に関する報道は、この事件の裁判としてはかなり控えめのものだったと感じます。
そして、後は裁判所の判断を待つばかりとなりました。
最高裁が死刑判決を求めて差し戻したことや、あの橋下弁護士が言うところの「世間」の声を考えると、裁判官が下す判決は限られているのではないかと思います。
判決が下される日の報道は相当に過熱するでしょうから、もし、死刑以外の判決が出された場合、私は裁判官の勇気に敬意を感じつつも、その身の安全を心配してしまいます。
いずれにせよ、後は裁判所の判断です。
それから、この事件の裁判を考えるときに、忘れてはならないのがマスメディアの報道です。
「世間」の声を作ったのもマスメディア、特にテレビによるところが大きかったと思います。
マスメディアでは、今では26歳になった被告人のことを、ほとんどが「元少年」と呼んでいます。
読売新聞では、元会社員となっているようです。
実は私も元少年であり、元会社員なのですが‥‥。
まあ、それはそれとして。
ところで、この裁判の被告人の名前をご存じでしょうか。
この事件を調べるためにネットで検索した時、○○という被告人の実名が書いてありました。
例えば、「○○は死刑にするべきだ」などとあったわけです。
私はそれを読んだとき、一瞬、別の事件のことかと思いました。
すぐには「○○」と言う名前と「元少年」が一致しなかったわけです。
その違和感は今でもどこかに残っています。
「元少年」に関しては名前だけではなく、写真などの映像もマスメディアには出てきません。
今後、いずれかの機会に公開されるのかどうかわかりませんが、もし公開された場合、私が抱いたような違和感を持つ人はかなり多いのではないでしょうか。
また、この「元少年」はずっと「元少年」として扱われ続けるわけですか?
このように報道に際して規制が必要な被告人に対して数多くのマスメディア、特にテレビ番組は、死刑を求めることが当然であるかのような報道をしてきました。
そして、その影響もあってか多くの人は、名前も容貌も知らない「元少年」を死刑にすべきだと考えているようです。
この事件の裁判に関しては他の裁判と比較して、マスメディアの情報量も多かったように思います。
それにもかかわらず、今でも「元少年」についてよく知らないのは、私だけではないでしょう。
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