選挙制度

2007年8月25日 (土)

公明党は中選挙区制を望む

先月の参議院選挙後、3回にわたって選挙制度に関して取り上げました。
以下がその記事です。
7月31日 
すべては選挙制度から
8月1日 民主350議席、自民89議席
8月3日 しつこく選挙制度

これらの中で、私は現在の選挙制度の欠点として何点か挙げました。

  1. 民意と議席数の差が大きい
  2. 党内の執行部が強力になる
  3. 少数政党に不利
  4. 一党が圧勝する

以上の点などが考えられます。
そこで私は、特に少数政党の政治家や支持者の皆様に「比例代表制」の範囲を広げるように声をあげろと、提案しているのですが、弱小ブログの身の上では誰にも相手にしてもらえず、マスコミでも選挙制度に関して、政治家や有識者などの声をほとんど聞きませんでした。

しかし昨日、公明党の太田代表が参院選の敗因分析や衆院の選挙制度について発言をしました。
残念ながら、このブログを見たわけではなさそうです。


公明党の太田代表は24日、衆院の選挙制度について「中選挙区制にすることが非常に大事なことだ」と述べ、中選挙区制を復活させるべきとの考えを示した。

太田氏は、参院選の公明党の敗北は「基本的にとばっちりだ」と述べた上で「政策を勉強し、実績を上げてきたことが、ばんそうこうを張った人が出たら一瞬に吹き飛んでしまう」と指摘。小選挙区ではさらに「風」が選挙結果に影響を与えるとの考えから「小選挙区制は政権交代を可能にするというが、ポピュリズム(大衆迎合)になる」と述べた。

公明党は99年秋に自自公連立政権に参加する際に中選挙区制の復活を求めており、太田氏の発言はこうした党の考えを改めて強調したものだ。

一方、太田氏は、民主党との連立を組む可能性については「現時点ではない。自公連立であくまでいこうということは固まっている」と述べた。
[2007年8月24日21時45分 asahi.com]


太田代表が「中選挙区制」に戻したいのは、「中選挙区制」では公明党より小さい政党はほぼ消滅し、自民も民主も単独で過半数は難しく、かつ公明党が第三局として自民か民主と連立政権が組める、という読みからでしょう。

確かに「中選挙区制」にすれば、そのようになりそうです。
しかし、太田代表惜しいです。
何が惜しいかというと、他党は「中選挙区制」には賛成しないと思われるからです。
自民と民主は「小選挙区」を増やしたいと考えていますし、少数政党は「中選挙区」には乗ってこないでしょう。
つまりここでは、太田代表は「比例代表制」を唱えるべきだったのです。

「比例代表制」を唱えれば、少数政党も賛同するでしょうから、世論を巻き込んで選挙制度の改正を大きな流れに出来るかもしれません。
その中で自民、民主と協議し、妥協案として「中選挙区制」を持ち出す。
あとはあなたの実力次第です。
うまくすれば「中選挙区制」が復活します。

夢のような話ではありますが、万一「比例代表制」になったとしても、「比例代表制」も公明党にとっては悪くない制度ですから、騙されたと思って少数政党を誘ってみたらいかがですか?


私が公明党のことを書く機会も今後あまりないでしょうから、太田代表の発言の中で気づいたことを一つだけ。

政権を担う責任政党の代表が、参院選の敗因は 「基本的にとばっちりだ」などと、自分の責任を回避して他人のせいにしてはいけません。
教育上良くないです。

宗教上も良くないです。


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2007年8月 3日 (金)

しつこく選挙制度

今週は二度、選挙制度について書きました。一つは、今よりも比例代表の部分を大きくしようということです。これは民意をなるべく忠実に反映させるためと、少数意見を尊重するという観点から、少数政党を生き残らせるためです。もう一つは、現行の制度では第一党が大勝してしまう恐れがあるということです。
(参考記事 
すべては選挙制度から 民主350議席、自民89議席

選挙制度にベストというものはありませんし、固定されるべきものでもないでしょう。試行錯誤しながら、より良いものを求めていくものだと思います。
そして、国民が主権者であるなら、国民の声が最も反映される方法が良いはずです。

今回の参院選の比例選での各政党の得票率と、選挙区を含めた獲得議席数を示してみますと、

         得票率  議席数
民主党    39.48%    60
自民党     28.08%    37
公明党     13.18%     9
共産党         7.48%     3
社民党          4.48%     2
新党日本       3.01%     1
国民新党       2.15%     2
女性党         1.14%     0
9条ネット       0.46%     0
新風           0.29%     0
共生新党       0.25%     0

以上のように、現行の制度は少数政党ほど得票率が議席数に反映されません。
共産党や社民党のような護憲政党は退潮傾向にあると言われています。
それも否めない事実ですが、これらの政党の支持者の方々は、選挙制度にも目を向けたほうがいいと思います。そうでないと消滅してしまいますよ。

それから、最近国民の中に二大政党制を認める声が大きくなってきたようです。では、現行の選挙制度で二大政党が育つでしょうか。
私は、なかなかうまくいかないと考えています。それというのも、2年前の衆議院選挙は自民党の圧勝、今回の参議院選挙は民主党の圧勝です。
つまり、現行の制度は一つの党が圧勝しやすい制度と言えます。

どちらかが二回続けて圧勝すれば、その後は当分の間政権交代が期待できなくなり、ワガママ王子が登場すれば好き放題やられてしまいそうな気がします。

この国が民主主義国であり、民意で政治がきまるのだとすれば、選挙で惨敗した総理大臣がいつまでも居座るのはおかしいです。
国民の意思ですから、そういう総理大臣は代えましょう。

同様に、民意である政党の得票率とその議席数があまりに違うのはおかしいです。

そういう選挙制度も変えてみませんか?

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2007年8月 1日 (水)

民主350議席、自民89議席

今回の参議院選挙の結果に関しては、与党の自滅により民主党が勝ったのであって、民主党が積極的に支持されたわけではない、という評価が一般的なようです。
それとともに、民主党に政権担当能力はあるのか、などと言われています。

政権担当能力とは何かよく分からないのですが、今の自公政権にその能力があるとすれば、その程度の能力は十分にあるでしょう。
少なくとも今の政権よりは空気を読めると思います。まあ、安倍内閣よりは民意というものを理解しているでしょう。

私は昨日の記事で、選挙制度について書きました。昨日の毎日新聞に、それに関連した新聞記事がありましたので抜粋して引用します。

  ◇民主350議席、自民89議席

民主が350議席と大躍進、自民は89議席と大惨敗--。参院選比例代表で自民、民主両党が獲得した票数を衆院選の小選挙区、比例代表ブロックに割り当て、現段階で衆院選をやった場合の結果を予測してみたところ、こんな衝撃的な数字が浮かび上がった。

小泉純一郎前首相が郵政民営化一本に絞り、自民党に大勝をもたらした05年衆院選ですら獲得議席は296。今回の民主党の勝利が「小泉旋風」を上回る「台風」だったことがうかがえた。

自民、民主両党が300小選挙区すべてに候補を擁立したと仮定し、今回の比例代表で両党が全国の各市町村で獲得した票数を衆院の小選挙区、比例代表ブロックの両方に割り当てた。自民、公明両党の選挙協力などは無視し、自民、民主両党の票数だけで計算した。

その結果、民主党は小選挙区265、比例85、自民党は小選挙区34、比例55となった。

350議席という数字は過去、どの政党も獲得したことがない。自民党は05年のほか60年と86年にも300議席近くを獲得しているが、350には遠く及ばない。衆院の3分の2を超え、民主党が単独で憲法改正ができることにもなる。

(略)

実際の選挙では、参院比例代表の票数だけでのシミュレーションがそのまま結果に結びつくとは言えないがそれだけ今回、民主党が勢いがあったことを裏付ける数字ではある。
[7月31日 毎日新聞]


今回の比例区の票数をそのまま衆院選の結果として仮定した場合、民主党が350議席を獲得するということです。
あの郵政選挙で自民党が獲得したのが296議席です。それでも当時、かなりのショックを受けました。

それが今回は、国民が積極的に民主党を支持したわけでもないのに350議席も獲得してしまうとすれば、その選挙制度はそのままで良いのでしょうか。
私は選挙制度は早いうちにこのままで良いかどうか、考えておくべきだと思いますが、いかがでしょうか。


最後に、赤城農水大臣が更迭されました。辞表を提出したとのことですが、安倍首相に呼び出されたということですので、事実上の更迭です。
近く内閣を改造するというのに、今頃更迭する意味が良く分かりません。その上、国民に対する説明はなく、あくまで党内事情によるもののようです。
どうせ辞めさせるなら、選挙前にすればいいのに。

自民党惨敗の原因はいくつか考えられますが、私は赤城農水大臣の件はそれほど大きくなかったと思っています。(これがなくても同じくらい負けただろうということです)
しかし、安倍氏とその愉快な仲間たちはこれを最大の敗因と考えているようです。
そして、あくまで自分の政策は支持されていると言っています。

政策が間違っている
誰か教えてあげた方が良さそうです。

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2007年7月31日 (火)

すべては選挙制度から

選挙前の記事に書いたように、今回の参議院選挙で私は比例区は天木直人氏、選挙区は川田龍平氏に投票しました。結果は川田氏が見事に当選してくれました。私の票が死票にならなかったのは久しぶりのことです。
無所属での活動は大変だと思いますが、今後も注目していきたいと思います。体調に気をつけて頑張ってほしいものです。

天木氏は準備期間が短かったこともあり、残念でした。やはり、マスコミで泡沫扱いの上、ネットによる活動ができない状況では苦しいです。
今回の経験を生かしていただき、次の機会にまた期待したいと思います。


安倍首相が辞めません。昨日は午後二時から記者会見をしました。ずっと目が泳いでいた上に、言っていることの意味がよく分かりません。その間、青木参院議員会長は脇で寝ていました。

そんな状況の自民党でも、安倍総裁や執行部を批判する声はそれほど聞こえてきません。批判の声で目立つのは舛添氏と加藤紘一氏くらいでしょうか。
私は、その理由の一つには選挙制度があると思います。

小選挙区制では、一つの選挙区には一党から一人の候補者というのが基本です。そのため、党内で選挙を取り仕切る執行部に睨まれるような発言はしづらいのが現状です。立候補さえできなくなる可能性もありますから。
つまり中選挙区から小選挙区になることで、党執行部の力が大きくなり、党に逆らいにくくなったわけです。

また、現在は衆議院も参議院も似たような選挙制度になっています。
そのため参議院不要論が出る危険性が大きくなっています。
私は、参議院は独自性を出すためにもすべてを比例代表にすれば良いと思います。(参考記事 
比例代表で少数意見の尊重を

例えば、定数を200として、100ずつを改選するとします。
そうすると、投票数の1%の得票で1議席を獲得できます。
今回の結果にあてはめてみますと、以下のようになります。

  民主党     40
  自民党     29
  公明党     14
  共産党      7
  社民党      4
   新党日本      3 
  国民新党        2
  女性党        1 
(端数は上位3党に加えました)

現状の選挙制度では、自公政権に反対する票を民主党以外に投票するとほとんど死票になります。
その点、このような制度にすれば、少数政党に投票することの意味が大きくなります。

今回の参院選の結果を見て、「国民が二大政党制を望んでいる」という声が、民主党などから出ていますが、私はそうは思いません。
先ほど述べたように、反与党票は民主党に入れなければ効果的でないので、民主党に集まっているということだと思います。
ただ、現状の制度で選挙を続けていれば当然二大政党制が確立されてしまうでしょう。

民主党が大きくなったことで、自民と民主が組んで選挙制度を変えることも予想されます。その際は、比例部分をより小さくしようとするでしょう。
そうなると、少数政党はほとんど消滅します。

そのような危機感を持って、公明党以下の政党の政治家や支持者の方は、比例代表枠の拡大のために声を上げればいいと思うのですが‥‥。
なぜかそういう声はマスコミはじめ政治家からもほとんど聞かれません。

二大政党制でよろしいのでしょうか?

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2007年6月23日 (土)

比例代表で少数意見の尊重を

今年の4月に行われた統一地方選の地方議会選挙で、公明党の公認・推薦候補は全員が当選しました。このことに対する評価はともかく、これは的確な選挙制度の研究と選挙情勢の分析によることは、間違いないでしょう。

選挙制度に関して言えば、安倍内閣は現在の選挙制度が生み出した、とも言えると思います。
つまり、国民が直接安倍内閣を選んだわけではなく、現在の選挙制度のもとで行われた選挙を通じて選ばれた国会議員達が選んだ、ということです。
もし、他の形の選挙が行なわれていれば、違う内閣が出来ていた可能性もあります。

現在、日本の選挙は大きく分けて、地方区(選挙区)と比例代表で行われています。
私が最近思うのは、「地域代表の国会議員は必要だろうか?」ということです。かつては、地元への利権誘導が国会議員の大きな役割、とされた時代もありましたが、今ではこれは批判の対象となります。また、地元密着の議員ほど仕事が小さい印象があります。

上記のような理由もあり、私は、二院のどちらかが全国区の比例代表のみで選挙をするといい、と思っています。

その効果として、死票がほぼなくなり、一票の格差もなくなります。
また、国民の政党支持率が議席数として反映されることになります。
そして、何よりも少数政党が議席を獲得しやすくなります。
仮に、定数を300としても、全体の0.3%強の得票率で一議席獲得できます。かなり小さな政党でも国会で意見が言えそうです。

ついでに、公明党の支持者の方も、住民票が安定するかもしれませんね。

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2007年6月19日 (火)

舛添氏への刺客か?

ある事情から13年前のことを調べていました。1994年(平成6年)のことです。大きな事件としては、6月27日にオウム真理教による松本サリン事件が起きています。その2日後、国会では、社会党委員長の村山富一氏が、首相に指名されました。いわゆる 「自社さ政権」 です。自民党、社会党、新党さきがけの三党による連立政権です。

13年後の現在、新党さきがけは既にありません。
社会党はその後社民党として頑張っていますが、現状はかなり厳しくなっています。

自民党だけは現在も大きな勢力を維持していますが、長い目でみれば、やはり長期低落傾向であるのは否めません。
衆議院は、あの「郵政選挙」のおかげで安泰ですが、参議院は、来月に予定されている選挙結果によっては、自公連立でも過半数割れの可能性もあります。
今後は単独で過半数を取ることはないでしょうし、万一野党になったら生き残れない政党でしょう。

その上、今回の選挙は年金問題もありますから、安倍総理も必死です。投票日をお盆まで延ばそうか、という話も出るほどのセコさだそうです。
そんな時、自民党に救世主?が現れました。

丸山弁護士が参院選出馬を表明

 自民党は18日、参院選比例代表候補として、テレビ出演で知られる丸山和也弁護士(61)の公認を決めた。

 これに先立ち安倍晋三首相(党総裁)が丸山氏と党本部で会い「逆風の中なので、元気にやってもらうとありがたい」と期待を示した。

 丸山氏は会談後に記者会見し「日本を建て直すには、自民党を建て直さなければならない。心情的には『丸山党』で、自民党と反りが合わないところはいっぱいあるが、比例代表の場合はどこかの政党に属さないといけない」と、自民党から出馬する理由を説明した。
 [ 日刊スポーツ 2007.6.18より ]

おそらく丸山弁護士はそこそこ票をとるでしょう。問題となるのは、誰がその分を取られるか、ということですね。希望的観測で言えば、一番割りを食うのは、舛添要一氏ではないかと思います。
つまり、今回丸山弁護士に投票する人と、6年前に舛添氏に投票した人が、かなり重なるのではないかと思っています。保守票とミーハー票ですね。食い合ってくれるとありがたいものですね。

もしかすると、丸山弁護士の立候補は自民党の救世主としてよりも、舛添氏に対する刺客としての効果の方が大きくなるかもしれません。(私もミーハーですが、どちらも入れません。)

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