死刑に定年はない?
興味深い裁判の記事がありました。
この裁判の被告人は強盗殺人で2人の命を奪ったとして起訴され、一審判決では無期懲役となりましたが、今日の控訴審の判決では死刑が言い渡されました。
被告に逆転の死刑判決 広島・岡山2人殺害事件控訴審
現金を奪う目的で広島、岡山両県で一人暮らしの高齢者2人を殺害したとして、2件の強盗殺人罪などに問われた住所不定、無職片岡清被告(76)の控訴審判決が27日、広島高裁岡山支部であった。小川正明裁判長は「確定的殺意を抱いていたことは明白だ」と指摘。広島の事件に関して殺意を認めずに無期懲役とした06年3月の一審・岡山地裁判決を破棄し、死刑を言い渡した。閉廷後、弁護人は「上告を検討する」と述べた。
判決などによると、健康器具のローンの返済に困った片岡被告は03年9月28日夜、広島県東城町(現庄原市)の無職村田ミサオさん(当時91)宅に金銭目当てで侵入し、村田さんの首を絞めて殺害。金目のものを探したが見つからず、そのまま逃走した。さらに、04年12月10日夜には、パンクした自動車の修理代やガソリン代を奪おうと、岡山県井原市のそば店店主片山広志さん(当時76)宅に侵入。片山さんの頭などをバールで数回殴って殺害し、現金約5万円の入った財布を奪った。
一、二審で争点になったのは広島の事件における片岡被告の殺意の有無だった。片岡被告は捜査段階と初公判で殺意を認めたが、一審公判の途中で「首を絞めた後、『落ちた(気を失った)』と思い、すぐ手を離した」と否定した。
一審判決は、広島の事件での殺意を認めず、強盗致死罪にあたると判断。「重大な犯行だが、矯正が全く不可能とまでは言えない」として無期懲役を言い渡し、検察側が控訴していた。
控訴審で検察側は、「犯行の下見をした際に被害者に顔を見られており、殺すつもりで1分以上、両手で首を絞めた」と改めて強盗殺人罪が成立すると指摘。これに対し、弁護側は「当初は被害者を脅して金を借りようと思っていた。騒いだ被害者を黙らせようと思い、片手の指で数秒間、首を絞めただけだ」として殺意や計画性を否定していた。
小川裁判長はこの点について、「被告は被害者が抵抗しても、2~3分にわたり首を両手で強い力で絞め続けた。その後も救命救護の措置を取らず、毛布を頭からかぶせ金品を物色した」と述べ、殺意を認定した。
[2008年02月27日12時11分 asahi.com]
強盗殺人を2件犯した被告人に対する刑罰として、無期懲役と死刑のどちらが妥当か、またはそれ以下の有期懲役が選ばれるべきかは事件の内容によるでしょう。
当然、一概には言えません。
それにしても、この事件の裁判には、裁判というものに関して考えさせられる点がいくつかあります。
まず最初に、2年前の一審判決は「(被告人は)矯正が全く不可能とまでは言えない」として、無期懲役を言い渡しました。
当時既に70代半ばという年齢の被告人に対して、矯正の可能性に言及して無期懲役という判決はどうなのでしょうか。
何とも言い難い微妙な判決という気はします。
これに対して、検察側はその判決を不服として、死刑判決を求めて控訴したわけです。
次に、控訴審の判決がまた微妙です。
引用した記事によりますと、控訴審では検察側は「殺すつもりで1分以上、両手で首を絞めた」と殺意があったことを指摘しています。
そして、判決で裁判長は「2~3分にわたり首を両手で強い力で絞め続けた」として、殺意を認定しました。
なぜか裁判長は検察側が主張する以上に強く殺意を認定しているように思えます。
その殺意に関して被告人は、初公判以降は否定しているということです。
にもかかわらず、この裁判長は確信があるかのように殺意を認定して、死刑判決を出しました。
裁判官というのはつくづく立派な方なのだな、と感じます。
最後に、刑罰も多少は年齢を考慮した方が良いのではないでしょうか。
この裁判では、70代半ばの被告人に一審で無期懲役の判決が出ました。
それを検察側が不服として控訴しました。
良く使われる表現ではありますが、分かりやすく言いますと、検察の目的はこの被告人を死刑にすることだということです。
弁護人によると、最高裁に上告するようです。
判決が確定する頃、被告人は80歳近くになっているでしょう。
無期懲役でもそれほど変わらないように思いますが、検察はそれでも死刑を求め続けるのでしょうね。
まあ、検察も鳩山法務大臣のことを少しは考えてあげて下さい。
いくら死刑を執行しても死刑囚が減らないじゃないですか‥‥。
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