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2008年3月

2008年3月11日 (火)

都民の税金で責任回避

マイクロソフトのビルゲイツ会長には6兆円もの資産があるということです。その資産の中から1000億円をどのように使おうと彼の自由です。
もし彼が、それを貸し倒れを覚悟の上で、資金繰りに困った中小企業に貸し出したとすれば、一つの美談といえるかもしれませんが、それを東京都が税金を使って行うとすれば、貸し倒れが美談になることはあり得ません。

もちろん、石原慎太郎都知事が自らのアイデアで創めたという新銀行東京の話です。
既に出資した1000億円が危険な状況になっているだけではなく、彼は、さらに400億円の追加出資を求めて、都議会の理解と協力を要望しています。
もっとも、彼の場合は要望というよりも、脅しに近い口調ではありますが‥‥。


新銀行東京:清算なら新たに千億円必要 野党は反対姿勢

経営不振に陥った「新銀行東京」について東京都は11日、事業清算した場合に預金の一斉払い戻しなどに対応するため、新たに都から1000億円の貸し付けが必要になるとの見解を示した。都議会予算特別委員会で明らかにした。都は再建のため400億円の追加出資を検討しているが、清算すればそれ以上に多額の公費投入が必要になるとするもので、石原慎太郎知事は追加出資について「伏してでも理解と協力をお願いしたい」と訴えた。

一方、野党側は「多大な累積赤字を抱えている負の遺産しかない銀行であり、再建しても中小企業の支援を果たせるとは思えない」と反対姿勢を明確にした。

同委員会で都側は、事業清算が決まった場合に「取り付け騒ぎ」が起こる恐れがあると説明。新銀行の預金残高は約4000億円だが、有価証券などすぐに現金化できる流動性が高い資産を処分しても約1000億円が不足し、この分を都の貸し付けで補う必要が出るという。仮に破綻(はたん)処理が行われ、1000万円超の預金が保護されないペイオフの対象となるのは法人・個人で計9610件、477億円に上るとしている。

さらに、都は同委員会で、09年3月期に新銀行の自己資本比率が国内営業基準(4%以上)を切るとの見通しを示した上で、追加出資400億円の根拠を説明。内訳は▽自己資本の維持に必要な80億円▽貸し倒れ引当金だけでは補えないリスク対応に必要な280億円▽風評による損失などのリスクへの備え40億円などとした。

都は、07年12月の融資先の中小企業約1万3000社のうち、5635社(約43%)が赤字・債務超過企業であるとし、新銀行がなくなればこれら企業の破綻につながると指摘。従業員や家族などに多大な影響を与えるとも主張した。【木村健二】

[毎日新聞 2008年3月11日 19時53分]


都道府県の情報公開ランキングで失格している東京都も、この問題では追加出資を求めるために、さまざまな情報を出してきています。
もっとも見積もりの数字などは、当てにできないとは思いますが‥‥。

この問題の一番の責任者が石原都知事であるのは、本人がどんなに責任を回避しても、当然のことです。
ただ、今はそのことには触れないでおきます。


当時、銀行が貸し渋りをしていた中小企業を救済するために融資を行い、経済を活性化させるというのは、それ自体は悪くない考えだったかもしれません。
しかし、その後も日本の経済が停滞を続けたため、新銀行東京の融資が不良債権化していったとも言えます。
ある意味で、自公政権の経済無策の被害者なのかもしれません。

それでも、他の銀行が融資しない中小企業に貸し付けるということは、当然、貸し倒れの危険性が高いはずです。
そのくらいは誰でもわかります。
ということは、新銀行東京は最初から儲けるつもりがあったのかどうか、私には甚だ疑問な訳です。


つまり、この銀行を設立する目的が、中小企業に融資するためと言いながら、都民の税金をどこかに還流させたり、ある特定の企業を救済するためだったのではないか、などと勘繰る声が出るのも仕方がないかな、と思います。

先ほどテレビのニュースで、他の銀行が預金に0.1%以下の金利しか付けていなかった頃に、新銀行東京は1%もの金利で預金を集めていたとのことです。
これで、あまりにも早く破綻をすれば、預金者にとってはほとんど詐欺のようなものです。
石原氏も自分の任期中は何としても、逃げ切りたいのでしょう。


今や、1000億円が風前の灯です。
石原氏は、自分が逃げ切る時間を稼ぐために、さらに400億円を使おうとしています。
それが自分の金であれば、私も文句は言いません。
ただ、そのお金は都民の税金なのです。


アメリカではビルゲイツ氏が6兆円もの資産を持っているそうです。
日本でも、石原慎太郎氏クラスになれば、1000億円程度はポケットマネーでしょう。

でも、自分のものは舌も出さない‥‥‥か?

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2008年3月 6日 (木)

究極の自己責任

小泉内閣の頃からでしょうか、自己責任という言葉がよく聞かれるようになりました。
全ての国民が全ての行動を自己責任で行えれば、それはそれで良いのかもしれませんが、生活を続けていく中で、さまざまな点で公的な補助が必要になることがあるものです。

それに対して、国や自治体などが自己責任という言葉で突き放した場合、どのような事態が考えられるでしょうか。
その一例のような事件が今日の毎日新聞に載っていました。


殺人:妻子3人を絞殺か 「生活困窮」遺書残し男性重傷--浜松

5日午前10時15分ごろ、浜松市東区小池町の配管工、大岡直樹さん(43)方2階寝室で、一家4人が布団に並んで倒れているのを知人の通報で駆けつけた静岡県警浜松東署員が見つけた。妻の美容師、木綿子さん(41)▽長女で市立与進北小4年、日菜乃さん(10)▽長男で同1年、拓実君(7)--の3人が死亡し、大岡さんも重傷。大岡さんは殺害を認め、同署は大岡さんから殺人容疑で事情を聴く。

調べでは、3人の首には手で絞められたような跡があり、大岡さんが書いた「生活に困窮し行き詰まった」という内容の遺書が見つかった。【平林由梨】

[毎日新聞 2008年3月6日 東京朝刊]


これは生活苦による一家心中事件だと思われます。
もちろん、この国の政府や自治体が「生活困窮者は死ね」といっているわけではありません。
それでも、現在の日本では、生活が苦しくなると一家心中をするというのが選択肢の一つであるのは間違いないようです。


もう一つ、悲惨な事件が同じ3月5日にありました。
こちらも毎日新聞から引用します。


殺人:寝たきりの妻を絞殺、87歳夫を逮捕 千葉・鴨川

寝たきりの妻を絞殺したとして、千葉県警鴨川署は5日、同県鴨川市京田の無職、岩波武容疑者(87)を殺人容疑で緊急逮捕した。 

調べでは、岩波容疑者は同日午後4時ごろ、自宅寝室で眠っていた妻ゆうさん(82)の首を浴衣の腰ひもで絞めて殺害した疑い。ゆうさんは13年前の交通事故の後遺症で寝たきりで、岩波容疑者も昨年から介護疲れで体調を崩していたという。調べに「家族にこれ以上、迷惑を掛けたくなかった」などと供述しているという。

岩波容疑者は▽ゆうさん▽息子(58)▽中学生の孫(14)の4人暮らしで、帰宅した息子が同署に通報した。【神足俊輔】

[毎日新聞 2008年3月6日 東京朝刊]


こちらは、介護に疲れた87歳の夫が寝たきりの82歳の妻を殺したという事件です。
誰しも長生きはしたいものですが、87歳まで生きてきて、殺人犯になるというのも哀しいものです。

介護に疲れたお年寄りが殺人者になってしまう社会。
我々は今、そういう国に住んでいるのです。


おそらく、事件のような生活苦の一家や介護に疲れた老人が頼るべき何らかの制度は、国や自治体に用意されているのかもしれません。
それでも、そういった情報が必要とする人々に行き渡らなければ何もないのと同じことです。
まして、自己責任などという言葉が権力者側から発せられてしまえば、国民が社会に対して絶望してしまうのもやむを得えないことでしょう。


一家心中や妻殺しは決して褒められることではありませんが、家族や夫婦を一つの組織として見ると、その自己責任の取り方としては究極のものであるのかもしれません。

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