「むちゃな話」とイシハラ氏
この国に長く住んでいる私のようなものにとっては、以前から分かっていることではありますが、自民党の政策というのはその場しのぎの小手先のものばかりで、自分たちの失政を他の者に押し付けるということの繰り返しです。
今まで、地方税として都道府県に入っていた税収を、その格差が大きすぎるという理由で今後は国税として国が自治体に再配分することに決めたそうです。
昨日、その方針の理解を求めるために自民党の与謝野氏が石原都知事と面談しました。
自民党税制調査会の与謝野馨小委員長は7日、東京都庁で石原慎太郎都知事と面会し、大都市から地方へ計約4000億円分の法人事業税収を移譲する方針について理解を求めた。
都からの移譲分として想定されているのは3000億円程度。石原知事は反対の姿勢を崩さなかったが、都には政府・与党の方針を覆す権限はなく、「政府は全然、内部努力をしていないのに、東京に税収があるからそれをよこせというのは、むちゃな話だ」と憤った。
[2007年12月8日 読売新聞]
めずらしく、私は石原都知事の言葉に納得しました。
それだけ政府・与党は酷すぎます。
完全に迷走しています。
税制というものは国が決定したら、さすがの石原都知事でも憤ることくらいしかできないのだそうです。
確かに、都道府県の間の税収のバランスが現状のままで良いのかどうかは議論のあるところでしょう。
ただ、その解決策は現在の国税で賄うなど、他にもあるわけです。
それを、大都市の税収を他の地方に移せというのでは、石原氏でなくとも不満を持つのは当然のことです。
そもそも、地域間の財政状態に大きな差ができたのも、自民党を中心としたこれまでの政府の政策によるものなのですから。
それだけではなく、国民の間の格差なども地域間格差と同様に現在の政府・与党が進めてきた政策によるものです。
特に、「小泉カイカク」と呼ばれるものは、そういう政策を公然と行ってきたわけです。
その「カイカク」を見直そうというのは悪いことではありませんが、国はほとんど努力もせずに、そのしわ寄せを地方や国民に負担させようという政府のやり方は、今の福田政権がいかに無能であるかを如実に表していると思います。
官僚が反対するような政策は何一つできないわけです。それは独立行政法人の改革を見ても明らかです。
「カイカク」で疲弊した地方に手を差し伸べるのなら、同じように「カイカク」で酷い目に遭った国民や中小企業なども助けるべきでしょう。
ただ、そうすると「小泉カイカク」とは何だったのか、不必要だったのではないかと、バレてしまいますけどね。
今回の方針では、都道府県の法人事業税全体の半分程度を国税に移すことになり、2兆円を超す規模の税収が国税となり、特別会計を通じて、人口や従業員数などに応じて自治体に再配分し、格差をならす仕組みだということです。
地方分権の流れにも逆行していますし、政策に一貫性がないので、地方の行政を担当する人たちも大変です。
結局、「カイカク」だの「小さな政府」だの「財政再建」だのと、自分たちで手を縛ったために何もできなくなっているのが今の政府だと思います。
その結果として出てきた政策が、あの石原氏でさえ「むちゃだ」というようなムチャクチャなものでした。
いずれにしても、今回は石原都知事と私の意見が合ってしまいました。
それだけ、政府・与党の政策は「むちゃだ」ということでしょう。
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コメント
カイカクというと医療現場から一言.今年のインフルエンザはAソ連型が90%,A香港型・B型が残り10%の割合で患者が出てるとか.なので,ワクチンもその混合比率で作られています.
ワクチンというと昔はガラス瓶にゴム栓がついてて,そこにぶっとい注射針を突き刺して,中身を吸い上げるというイメージがありましたよね.最近はワクチンのような「製品」に関してはプラスチックの風船のようなものにワクチンが入ってて,ボールペンより小さい(昔,糖尿病患者が使ってた)注射器で吸い上げて,非常に細い針で射つんです.おかげで「痛み」はかなり軽減されています.
ところが,厚生省は変なことを言い出すもので,「最低賃金で働いてる人は生活保護で生きてる人よりも総収入が少ない.だから前者は無料に近い価格でインフルエンザワクチンを供給するが,後者に関しては一律約5000円也を徴収する」と来た.
つまり,いずれにしても,貧乏人は黙って死ね,人口が減らないと日本は倒産する,とでも言いたいのかねと,皮肉の一つも言いたくなる.旧ソ連や北欧諸国が教育・福祉・医療に関して全て無料にしている意味が分からないのだろうか.つまり子供の生育環境を平等にすることによって,素質を持った子供がその能力を最大限に伸ばすという,当たり前の話である.生活保護というのは最低賃金とリンクしており,そもそも最低賃金が1000円支払えないような事業所は組合作って団交して潰してしまえば良い.
投稿: kaetzchen | 2007年12月 8日 (土) 20時26分