生命保険はもらえるか
日本の社会で格差が広がったといわれ始めたのは比較的最近のことですが、その前から格差社会を先取りしていたのが生命保険業界です。
内勤の社員と営業の職員、その差は天と地、貴族と奴隷といった感じです。
もっとも、いくつかの生命保険会社が破綻した頃からは業界全体が以前ほど景気が良くないため、内勤といえども貴族というほどではなくなったかもしれませんが。
その生命保険会社が2007年度の上半期業績報告というものを発表しました。
いわゆる中間決算にあたるものですが、主要12社トータルで減収減益だということです。
生保減益 「第3分野」頭打ち
銀行窓販に活路探る
主要生命保険12社の中間決算にあたる2007年度上半期業績報告はトータルで減収減益に落ち込んだ。新規契約の大幅減や調査費用の増大など、保険金不払い問題が影を落としている。さらに、新たな収益源として期待された医療保険など「第3分野」商品、銀行窓口での保険販売などの成長分野が頭打ちとなっている。各社とも既存契約を守ることに躍起だが、不払い問題に端を発した「生保離れ」の流れを食い止めるのは容易ではないようだ。(森田将孝、栗原健)
◆不払い直撃
生保各社は、死亡時の支払い保険金の大きさを示す保有契約高を積み上げるため、長く新規契約の獲得を競ってきた。ところが、2005年に表面化した不払い問題を契機に顧客離れが進み、新規契約の減少が加速した。07年度上半期の新規契約保険料(1年換算)は、日本生命保険、第一生命保険、住友生命保険、明治安田生命保険の大手4社を含む10社が前年同期の実績を割り込んだ。
不払い問題は利益面でも大きなつめ跡を残した。大手4社の保険金の追加支払額が約340億円、不払いの調査費用も4社で約200億円に達した。4社は下半期にさらに約70億円の調査費用を見込んでいる。
本業不振は不払い問題の影響だけではなく、成長戦略の誤算もある。商品投入が一巡した医療保険などの第3分野保険は、保険料収入が前年同期比11%減と落ち込んだ。営業職員に依存した販売方法を改革しようと、営業の柱に位置づけていた銀行窓口での保険販売も同28%減と伸び悩んだ。窓販の主力商品である年金保険の売れ行きに陰りが出てきたためだ。
◆量から質へ
新規契約の落ち込みで保有契約高が減少する中で、生保各社とも解約・失効に歯止めをかけることで安定的な収益を確保する戦略を打ち出している。新規契約を重視する営業手法では、職員が強引な勧誘や他人名義を使って架空契約を結ぶことが指摘されており、それが保険金不払いの温床になったとの反省もある。
上半期の保険料収入は12社計で前年同期より約2600億円減少したが、生保各社が既存契約の解約を防ぐ営業に力を入れたため、不払いの影響で本来なら上昇すると見られていた解約・失効率は12社全体で3・33%と0・23ポイント低下した。
生保業界は、12月22日からすべての商品を銀行の窓口で販売できるようになる窓販全面解禁をきっかけに、販売のてこ入れを図る。提携先を拡大してきた住友生命や、10月に窓販専門子会社を設立した第一生命などは銀行窓販で一定の成果を上げている。明治安田生命も「元本保証型変額年金を投入して挽回(ばんかい)したい」(殿岡裕章常務執行役)と積極参入を表明した。
この記事には、生保離れの流れが不払い問題に端を発した、と書いてあります。
ところが最後の方で、不払いの影響で本来なら上昇すると見られていた解約・失効率は12社全体で3・33%と0・23ポイント低下した、とあります。
解約・失効率は前期よりも改善しているのです。
つまり、不払い問題で解約した人はあまりいないのだと考えられます。
契約者の立場からみれば不払い問題は、今後、生保会社がしっかりと対応してくれれば済むことです。もし解約をして新しく同等の保険に加入することにすると、年齢が上がっていれば保険料も高くなるのでバカらしいわけです。
不払い問題は費用の増加という面はありますが、生保離れの大きな原因とは言えないと思います。
それよりも深刻なのは、新規契約の大幅減です。
この原因として、二つ挙げるとすれば、一つは生命保険の市場が既に飽和状態であること、もう一つはこの国の政治です。
日本には以前から、一家の大黒柱が生命保険に入るのは当然のような風潮がありました。ですから、保険に入るべき人はすでに入っているのです。
そういう中で、新規の契約をするためには若い人たちをターゲットにする必要があるわけですが、今の若い人は以前と比較して保険に入りたがらない傾向が強いようです。
その理由を考えてみますと、二番目に挙げたこの国の政治によるところが大きいと思います。
かつては、一旦就職すれば年功序列、終身雇用で、将来をある程度は見通すことができました。
しかし今では、就職しても給料は上がるのか、いつリストラされるのか分からないなど不安な点も多く、将来設計がなかなかできません。
また、家庭を持たない人も増えています。そういう人にとっては、万一の時に家族の経済面を心配することもあまりないので、死亡時に数千万円もの大金が受け取れるような保険にはなかなか入りません。
そして、景気も大きな原因です。
何の景気対策も打たない政府のもとでは、毎日の生活が大変で、将来のための保険にお金を回す余裕などない、と。
もしかすると、これこそが最大の理由かもしれません。
新規契約が減少していることと同時に、この国の少子高齢化を考えますと、生命保険業界全体は今後少しずつ小さくなっていくことでしょう。
ただ、それ自体は契約者にとっては関係のないことです。
契約者にとって関心があるのは、契約した通りの保険金が間違いなく支払われるかどうか、ということです。
国が運営している年金でさえ「物価スライド」などと言いながら、支給額を減らしています。
実際に受け取る時にいくらになるのか分かりません。
まして、民間の保険会社は大丈夫なのでしょうか。
まず最初にお金を集めて景気よく見せ、実際は自転車操業を繰り返し、最後には破綻してしまう。
こういう詐欺的な事件がよくあります。
最近ではNOVAでしょうか。また、年金にも国家的詐欺という説があります。円天も仲間入りさせておきますか?
生命保険は大丈夫なのでしょうか。
年金も受け取る側が増えて、はじめて、さまざまな問題が明るみに出てきたように思います。
生命保険もこれから受け取る人が増加するはずです。
いずれ、何か問題が出て来るような気がします。
そして気になるのが、私も契約通りの保険金を受け取れるのかどうかということです。
その時、私自身は確認できないわけですが‥‥。

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