「私はやっていない」
この国では、逮捕・起訴され裁判になった場合、ほとんど全てが有罪になります。
それが、警察・検察が優秀であるためか、裁判がいい加減であるからか分かりませんが、無罪判決はほとんど聞かれません。
特に、死刑が求刑されるような事件の裁判で無罪判決が出ることなど、私は考えたこともなかったのですが、そんなことが広島地裁で実際に起きました。
守屋前防衛事務次官が夫婦で逮捕された11月28日のことです。
広島の母娘保険金殺人、死刑求刑の被告に無罪判決
広島市西区で2001年1月、保険金目的で母親を殺害して放火し、2人の娘を焼死させたとして、殺人、現住建造物等放火などの罪に問われた元会社員中村国治被告(37)の判決が28日、広島地裁であり、細田啓介裁判長は「犯行状況や動機についての自白は不自然で不合理。被告を犯人と断定するには疑いが残る」として無罪(求刑・死刑)を言い渡した。
最高裁によると、死刑が求刑され、1審(再審除く)で無罪判決が出されたのは、1978年以降で3件目という。地検は控訴する方針。
中村被告は06年5月に児童扶養手当詐欺事件で逮捕された後、放火殺人を自供したが、公判では否認し、無罪を主張した。
明確な物的証拠がなく、取り調べ段階の自白調書の任意性や信用性などが最大の争点となった。細田裁判長は「被告が犯行を行ったとする客観的証拠はなく、自白調書は検察官の主観に頼った内容になっている」などと捜査のあり方を批判した。
起訴状によると、中村被告は01年1月17日午前3時過ぎ、母親の中村小夜子さん(当時53歳)方1階で、就寝中の小夜子さんを絞殺。灯油をまいて放火し、2階で寝ていた長女彩華ちゃん(同8歳)と二女ありすちゃん(同6歳)を焼死させ、3人の生命保険金など約7300万円を詐取したとされた。
[2007年11月28日13時39分 読売新聞]
この裁判の被告は別件で逮捕され、取り調べ段階で自白したものの公判では否認していたということです。
その上、物的証拠がなく、自白調書の信用性が最大の争点であった、と。
これは、冤罪事件によくあるパターンではあります。
ただ、検察側は控訴するようです。
ですから、裁判官が変われば有罪もあり得るかもしれません。
無罪か死刑かですから、大変な違いです。
一方、こちらの事件の容疑者は、逮捕の段階で容疑を否認しています。
JR南武線車内で強制わいせつ 小学教諭逮捕、容疑否認
神奈川県警高津署は28日、川崎市多摩区中野島1丁目、同市立小学校教諭、杉田貴大容疑者(34)を強制わいせつの疑いで現行犯逮捕したと発表した。杉田容疑者は「私はやっていない」と容疑を否認しているという。
調べによると杉田容疑者は、同日午後7時50分すぎ、JR南武線武蔵溝ノ口駅から久地駅間を走行中の車内で、前に立っていた川崎市内に住む高校2年生の女子生徒(17)の背後から、下着の中に手を入れて下半身を触った疑い。生徒が手をつかんで久地駅で下車し、同署員に引き渡したという。
[2007年11月29日01時30分 asahi.com]
容疑者が否認をしている痴漢事件です。
被害者は下着の中に手を入れられたとのことですが、容疑者もその手を掴まれたのであれば否認はできないでしょう。
にもかかわらず否認しているということは、被害者も下着の中の手を掴んだのではなく、手が外に出た後に「これだ」と思った手を掴んだのではないでしょうか。
そうして痴漢の候補者が何人かいる中から、「はずれ」の手を選んでしまった、という可能性もあり得ると思います。
これは、あくまでも想像ですが。
今までに、痴漢冤罪に関しての記事を2つ書いています。
その中で紹介しました野村高将氏の手記は、痴漢事件の容疑者としての実体験に基づくものですので、容疑者になる危険性を感じる方は、逮捕される前にぜひ一読されることをお勧めします。
今回の事件でもそうですが、私が気になるのは容疑者が否認しているにもかかわらず、実名が報道されていることです。
住所、氏名、年齢、職業の4点セットで書かれています。
警察発表そのままの記事なのでしょうが、やはり気になります。
野村氏を例にしてみても、冤罪事件は警察に責任がありますが、それと同じくらいマスコミの責任が大きいと感じます。
そういえば、先日容疑者が逮捕された香川県坂出市で起きた祖母と孫の3人が殺害された事件でも、ある特定の人物を怪しむような報道がされていたようです。
おそらく、犯人がなかなか見つからなければ、あの父親は日々マスコミに追い詰められていったのではないでしょうか。
そうですよね、みのさん。
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