選挙で儲ける奴もいる
昨日投開票された大阪市長選は、元アナウンサーの平松邦夫氏(民主・国民新推薦)が当選しました。
大阪市としては、戦後初の純民間出身市長の誕生とのことです。
一方、国政選挙並みの態勢で現職の関淳一氏を支援した自民、公明両党にとっては、予想外の敗北だということです。
しかしながら平松市政は、財政再建などの難題に加えて少数与党という状況になり、厳しい議会運営が予想されます。
私は知らなかったのですが、平松氏は関西方面ではかなり有名なアナウンサーだったとのことで、今回の当選は候補者の知名度によるところがかなり大きかったのでしょう。
それでも、大阪で自公の推薦候補に勝ったことは、今後の国政に与える影響も多大なものがあると思います。
ところで、選挙には公費で負担する部分があるということです。
分かりやすい説明が静岡県沼津市の選挙管理委員会のホームページにありましたので、そこから引用します。
公営(国又は地方公共団体が費用を負担)による選挙運動
選挙運動は、可能な限り自由に行われるものが望ましいのですが、金のかからない選挙の実現と選挙の公正を確保するため、選挙運動を規制する一方で、国又は地方公共団体がその費用を負担して選挙運動を行ったり、又は候補者の行う選挙運動の費用を負担しています。このような制度を選挙公営制度といいます。
公費で負担するものとしては、ポスター掲示場の設置や選挙公報の発行のほか、演説会での公的施設の使用、選挙運動用自動車の使用、選挙運動用通常葉書の交付・作成、選挙運動用ビラの作成、選挙事務所の立札・看板や選挙運動用ポスターの作成、新聞広告、政見放送、経歴放送、などがあります。(ただし、選挙の種類によって、公費負担の対象とその限度額は異なります。
●市長選挙及び市議会議員選挙の場合
選挙運動費用のうち、次のものは市の公費負担条例により、市が候補者に代わって業者等に支払います。(ただし、市が負担する額には一定の限度があります。)
ア. | 選挙運動用自動車の使用の費用 | |
イ. | 選挙運動用ポスターの作成費用 |
候補者が個人的に使うものの費用で公費が負担するものは、自動車のガソリン代とポスター代ということです。
それを業者が市に請求し、市が支払うことになります。
その金額には限度がありますが、限度額いっぱいに請求されることも多いようです。
これらは、実費を裏付ける書類の添付が必要ないため、このような水増し請求がいくつかの自治体で発覚して問題になっています。
選挙公費、水増し横行 ポスター代も燃料代も
ポスターや選挙カーなどの選挙費用を公費でまかなう自治体の選挙公営制度をめぐり、議員側の不正請求が続々と発覚、住民監査請求や訴訟になっている。条例で定める公費負担の限度額が実費を大きく上回っているうえに、実費であることを裏付ける書類の添付がいらない制度のためだ。各地で改正の動きが出ている政務調査費に続き、地方政治家へのルーズな公金支出を問題視する動きはさらに広まりそうだ。
水増しなど不正請求の疑いが今年に入って発覚したのは、東京都議選、埼玉、神奈川、岐阜の各県議選など。愛知県豊橋市議選など五つの選挙では住民監査請求が提起され、一部は住民訴訟にまで発展している。
自治体が負担する選挙公費は、業者が候補者に代わって自治体の選挙管理委員会に請求する。水増しで浮いた費用は、公費負担の対象外のパンフレット製作や、公費負担の対象とならない車のガソリン代などに流用されていた例が目立つ。
典型例は、04年春の岐阜県山県市議選をめぐり、今年7月に市議6人と県議らが詐欺容疑で書類送検され、5市議が辞職した事件だ。ある市議は実際には8万円で済んだポスター製作費として、上限額に近い約37万円を請求。水増し分の約29万円でポスター以外の印刷物を作り、それでも余った金を印刷業者から現金で受け取っていた疑いがもたれた。
同様の疑惑が県議選で浮上した岐阜県では、業者が県選管に出す請求書に納品書や売上伝票の添付を義務づけることを検討している。
選挙カーの燃料代では、東京都議選で1日に200リットル以上、埼玉県議選でも1日100リットル以上を給油したり、毎日同じ量を給油したりしたと届け出ていた候補者がいた。これらも水増しが疑われ、各自治体で公費の返還が相次いでいる。
[2007年11月19日08時04分 asahi.com]
選挙のたびに小銭を稼ぐ詐欺師はどこにでも現れるようです。
このような候補者は当選した後、議員としてもカネの誘惑には勝てないでしょう。
どんな仕事をするか知れています。
それよりも驚くのが、公費を使っているのに請求時には書類の添付が必要ないということです。
言われた金額をそのまま支払っているわけです。
もちろん限度額はありますが。
ただ、その限度額も怪しいもので、東京都議選では1日に200リットル以上給油できたようです。
よほど燃費の悪い車でも、200リットルあれば1000キロ以上走ります。
この候補者は、時速50キロで20時間以上、都内を走っていたのでしょうか。
水増し請求は当然責められるべきですが、制度がそれを助長している面も否めません。
言ってみれば、候補者が詐欺師なら、自治体は太っ腹の大旦那ですね。
税金で賄うなら、もう少しマジメにやりませんか‥‥。
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コメント
tbありがとうございます。
おまけにリンクに加えていただき光栄です。
>平松氏は関西方面ではかなり有名なアナウンサー・・今回の当選は候補者の知名度によるところがかなり大きかった
ええ、政策はほとんど未定。ずっと身内が市長に繰り上がり、元大学の教授(磯村氏)が市長になった時でさえ、市大から助役を経てから、でした。
領「羞」書なし、って、いうのはふざけてますね。案外、支持団体からの「持ち出し」の方が多いのかもしれませんが・・。そこら辺りを透明化することが市民派による議会作りにつながるのかも?
投稿: 三介 | 2007年11月19日 (月) 21時37分
三介様
コメントありがとうございます。
実際には水増し請求をしても、選挙における費用が黒字になる人はほとんどいないとは思いますが、公費の使い方がアバウトなところがこの国らしいですよね。
予算は全て使い切る。もしも余れば裏金に、という感じでしょうか。
投稿: もそもそ | 2007年11月22日 (木) 01時06分