保険というより増税だ
参議院選挙の際に、民主党が子育て支援のための手当や農家への戸別所得補償などの政策を発表しました。
それに対する批判として、財源はどうするのかとよく言われます。
新しい政策を始める場合に財源が問題にされるのは当然です。場合によっては増税なども考えることになるかもしれません。
一方、「負担増の凍結」の場合はどうでしょうか。
「負担増の凍結」といっても分かりにくいと思いますので、朝日新聞の記事を引用して考えてみたいと思います。
政府・与党は来年4月に予定されている高齢者の医療費負担増の凍結問題で、75歳以上の一部からの新たな保険料徴収は6カ月、70~74歳の窓口負担の1割から2割への引き上げは1年間、それぞれ凍結する方向で調整に入った。この凍結で必要になる税負担額は約1500億円になる見込みで、今年度補正予算での計上を検討する。
負担増凍結を検討している自民、公明両党の与党プロジェクトチームで最終調整し、今月中に結論を出す予定だ。
与党内では、先の参院選大敗を受け、負担増の凍結論が浮上。福田政権発足に伴う自公の連立政権合意で負担増凍結の検討が盛り込まれた。
新たな保険料徴収の対象になっていたのは、会社員をしている子供や配偶者の被扶養者で、これまで自ら保険料を支払う必要のなかった75歳以上の高齢者200万人。凍結期間は、保険料徴収を半年間先送りした7年前の介護保険制度導入時を参考に、6カ月間の凍結が有力視されている。厚生労働省の試算によると、必要財源は200億円。与党内の調整で9カ月に延びる可能性もある。
また、70~74歳の窓口負担の引き上げの1年間の凍結に伴う必要財源は1100~1300億円程度。
これらの凍結は健康保険法などの関連法の改正では行わない。「高齢者の負担増を激変緩和するための予算措置」と位置づけ、08年度の当初予算ではなく、今年度の補正予算で対応する。
[2007年10月6日 朝日新聞]
福田首相が先日の総裁選において語った、福祉分野で唯一の公約が「高齢者医療費負担増の凍結」だそうです。
来年の4月から予定していた高齢者の医療費負担増に、少しの間の凍結期間を設けるということです。
その思惑についてはここでは触れません。
この記事で問題にしたいのは下線を引いた部分です。
記事による印象では、この凍結により何か新しい税負担が1500億円ほど必要な感じがします。
ただ、あくまでも来年4月からの負担増の凍結ですから、早い話が来年もしばらくは今年と同じということです。
つまり、この金額は今年も同じくらい税金で負担しているということですよね。
厚労省の発表や、この新聞報道ですといかにも新たな税負担が発生するようないやらしさを感じます。
それ以上に問題なのが、今回凍結される予定の、75歳以上に適用される「後期高齢者医療制度」の内容です。
この制度が始まると、記事中にもあるように新たに保険料を徴収される人が200万人に上るそうですが、その金額が半端ではありません。
厚労省は「後期高齢者医療制度」の保険料は年額7万4000円と発表しているそうです。
しかし、その算定方法は都道府県で違うらしいのです。
「東京都後期高齢者医療広域連合」によりますと、最高で15万円にもなるという試算も出ているということです。
そしてこの保険料は年金から天引きされ、しかも未納者は保険証を取り上げられる。
これでもまだ保険と呼べるのでしょうか。
私にはターゲットを絞った増税に見えます。
この問題は、若い人たちには直接の関係はないでしょう。
ただ、次のターゲットはあなたかもしれませんよ。
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