二者択一の危険性
最近、民主党の前原誠司前代表がよくテレビに出演しています。その裏事情について政治評論家の森田実氏が詳しく述べられています。私がいつも拝見している らんきーブログ の8月7日の記事 まもなく政界再編? そして政界大変な時代が来る に引用されています。ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、よろしければご覧下さい。
この記事の中で、管理人の「ぶいっちゃん」は憲法改正に主眼を置いた政界再編に期待しています。自民党も民主党も分裂し第三の政党が現れてほしいということです。
私も二大政党制には基本的に反対ですから、第三の政党には期待したいところです。
そういう意味では「ぶいっちゃん」の考えに大賛成なのですが、ただ、現実にはそう簡単にいかないでしょう。
最大の問題は、選挙制度です。私は先週しつこく選挙制度について書きました。
現在の選挙制度では二大政党制になるよりも、一党が圧勝する可能性の方が高いです。
そういう中では第三の政党が選挙に勝つのは非常に困難です。
第三の政党や多党制を望むならば、一つの選挙区で2~5人が当選する中選挙区かそれ以上の人数が当選する大選挙区または比例代表制に制度を変えないと難しいでしょう。
政治家は選挙に落ちたらただの人ですから、現在の選挙制度で第三の政党を立ち上げるためには、かなり選挙に強い人を集めないといけません。
民主党の前原氏周辺と、自民党では小泉新党などが話題になりますが、実際選挙となると、よほど風が吹かないと、ほとんどが落ちるのではないでしょうか。ちょっと危険性が大きすぎます。現状では、政治生命を賭けてまで離党する人もいないと思います。
ただ、安倍内閣の支持率が下がり続けたまま総選挙となれば、自民党では当選できないと思う人が第三の政党を立ち上げるかもしれません。
つまり自民党か民主党がほとんど壊れた時に第三の政党が現れるのでしょう。その時は事実上、また二大政党になりますが。
回りくどくなりましたが、結局第三の政党を国民が望んでも、選挙制度が今のままでは政治家たちは動きにくいだろうな、ということです。
選挙制度に関して書かれた記事を紹介しておきます。
比例代表制で総選挙を (A Tree at Ease)
最後に憲法問題で政界再編を、ということについて一言。
問題の設定方法として、護憲か改憲かという二者択一は危険です。
郵政選挙の時、「郵政民営化に賛成か反対か」と小泉前首相は言いました。
これに対する私の答えは、「どちらでもいい‥‥」というよりも、郵政民営化の意味がよく分かりませんでした。つまり法案の内容が分からないのに判断のしようがないわけです。
結局私は反対派の候補者に投票しましたが‥‥。
護憲か改憲かという質問の仕方も同じです。
護憲は現憲法をそのままで良いということですが、改憲はその内容が示されなければ賛成も反対もできません。
私もとりあえずは護憲派ですが、絶対に現憲法そのままでなければいけないとは思っていません。現憲法以上に理想的なものができるのであれば改憲もいいでしょう。
あまり考えられませんが‥‥。そして、もちろん、安倍内閣での改憲は絶対反対です。
ですから、もし憲法改正で政界再編をするのなら、護憲か改憲かの二者択一ではなく、当然のことながら改憲の内容が示されるべきだと考えます。
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コメント
こんばんは! リンクしていただき有難うございます。
確かに二者択一ほど危険なことは無いですね。
単純化されると恐ろしい方向に行きそうで怖い。
護憲か改憲か、これもまた私のブログでも意識して避けている事柄です。難しいですよね。
ちょっと前に書いた私のブログで言うと、私たち庶民はその論議の前にまず「知憲」と言う言葉でもっと憲法について知らなくてはいけないのではないか?と思っています。
知らないで流される事が一番怖い事だから^^;
投稿: ぶいっちゃん | 2007年8月 8日 (水) 23時51分
指摘しておきたいのは「議会での議席数と議会での影響力は比例しない」ということです。日本においては公明党が議席のわりには大きな役割を果たしていますし、戦後のドイツでは「第三党のドイツ自民党が二大政党のうちのどっちにつくか」によって政権交代が起きた例がほとんどです(キージンガー・シュレーダー・メルケルの三例を除く)。
議会での影響力がどの程度になるかについては定式化されています(「SS指数」で検索するといろいろ出てきます)。改選前の参議院でSS指数を計算すると「82議席の民主党と24議席の公明党で影響力が同じ」という結果が得られたりして興味深いです。
…というわけで二大政党が拮抗している時であれば交渉によって第三党は議席数より大きな影響力を発揮できます。第三党を立ち上げようとする人は選挙に勝つより交渉上手になることを目指した方がよいのかも(笑
あと「改憲vs護憲」での政界再編についてはぼくも反対です。ぼくは改憲か護憲かというテーマは政治家の離合集散のネタに使うにはおおきすぎる、とおもいます。
特に選挙のたびに政権交代が予想される二大政党の下ではそうです。改憲党が勝ったら憲法を改正して、護憲党が勝ったら元に戻すなんて話は冗談にしかなりませんので。
二大政党の間での政策の相違は「ちょっと労働者より」と「ちょっと資本家より」程度が精一杯で、それ以上になると政治が不安定になります。少なくともいわゆる国の根幹に関わる部分ではコンセンサスが取れている必要があります。
投稿: はいふぁ | 2007年8月 9日 (木) 00時31分