核開発か平和利用か
62年前の今日8月6日、広島に原子爆弾が投下されました。そして3日後には長崎が被爆しました。
今の若い人たちの中には、太平洋戦争や第二次世界大戦と言ってもよく知らない人もいるようです。
一応説明しますと、日本に原爆を落としたのはアメリカであり、その後8月15日に日本は敗れました。
アメリカが原爆を使用したのはソ連が参戦する前に終戦させ、戦後処理を有利に進めたかったからだと言われています。
その背後には、人種差別的な考えや、人体実験の側面もあると思われます。
広島・長崎で核兵器を使用することの残虐さが明らかになったこともあってか、その後は核兵器が使われたことはありません。
米ソの核大国同士が睨み合っていた冷戦時代も使われませんでした。
つまり、核兵器は実際には使えない兵器だといえます。
ただ、核兵器も今後は小型化が進み、いわゆるテロリストの手に渡ることも考えられています。そういう状況になれば使われるようになるのかもしれません。
以前の日本は唯一の被爆国ということで、核兵器反対が世論の大勢でした。ところが最近は日本にも核武装を考えている人たちがいるようです。
あるアンケートによると、今回の参議院選挙に立候補した自民党の候補者の32%が核武装容認派だったそうです。
それでは、核武装をする理由とは何でしょうか。その理由と思われるものが今日の読売新聞の社説にありますので、一部引用します。
民主党の小沢代表は、参院選公示前の党首討論で、原爆投下について、米国に謝罪を求めるよう安倍首相に迫った。首相は、北朝鮮の核の脅威に対抗するためには、「核の抑止力を必要としている現実もある」と答えた。
原爆投下は肯定できない。他方、日本は、国の安全保障を米国の核抑止力に頼らざるをえない。これは、戦後日本が背負い続けている”ジレンマ”である。
[8月6日 読売新聞 社説より]
つまり、北朝鮮の核が脅威であると。それに対抗するにはアメリカの核に守ってもらうか、核武装するしかないということのようです。ただ、先ほども述べたように核兵器は実際には使えない兵器です。それに、北朝鮮の核に対抗するために日本も核武装するというのは、かなり飛躍した考えだと思いますが。
それから、読売新聞の社説では、「日本は、国の安全保障を米国の核抑止力に頼らざるをえない」と言っています。
そもそも、この前提がどうでしょうか。
他の方法は、考えられないでしょうか。
彼らは考えるつもりもないようですが。
北朝鮮やイランの核開発が脅威だという声があります。
それに対して、日本は地球温暖化対策も絡めて、原子力の平和利用を進め、途上国にその技術を輸出しようとしています。(関連記事 安倍総理が誇る最先端の技術)
北朝鮮やイランと日本の違いは、核開発か平和利用か、の違いです。実態はどう違うのでしょうか。あまり変わらないような気もします。
表では平和利用と言いながら、裏では核武装も容認する。
そういう国は国際的に信用されなくなりますよ。
残念ですね、唯一の被爆国なのに。
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コメント
はじめまして。
「核の傘」についてですが、こんな記述を見つけました。
「中国の場合を考えてみると、遅くとも米本土に達する大陸間弾道ミサイル(ICBM)を開発した1981年の段階から、日本に対する米国の「核の傘」は機能していなかった(豊下樽彦「集団的自衛権とは何か」岩波新書、2007)」つまり、安全保障は米国の「核抑止力」とは又別だと・・・・。
唯一の被爆国、が、「将来に渡って」唯一の存在である、その事を望んでいます。
拙い記事ですが、トラバさせて頂きます。
投稿: アカリ | 2007年8月 7日 (火) 23時08分
アカリ様
はじめまして。コメントとトラックバックありがとうございます。
おっしゃるように中国が脅威だというのならば説得力もありますが、北朝鮮の脅威に対抗するためにアメリカの核の傘が必要だというのはほとんど笑い話のようです。
私が心配するのは、世界で三発目の核兵器もこの国に対して使われるのではないかということです。それほどこの国の外交と防衛は危なっかしく見えます。
貴重な情報をありがとうございました。
投稿: もそもそ | 2007年8月 8日 (水) 12時07分