日本の企業負担は高くない
社会保障費や税金が増えるだけでなく、あらゆる物の値段が上がり出し、庶民の悲鳴があちこちで聞こえる今日この頃ですが、こんなご時世に企業減税を訴えるお気楽集団、経団連の会長が作戦を変更してきたようです。
「消費税上げ」が最大テーマ、税制シンポで経団連会長
日本経団連の御手洗冨士夫会長(キヤノン会長)は27日、経団連主催の税制のシンポジウムで「先進国で最悪の状況にある財政状況を健全化しなければならない」と述べ、税制の抜本改革の最大のテーマは「消費税率引き上げ」という認識を強調した。
激しい国際競争にさらされる経済界では、企業の競争力強化のため法人課税引き下げを期待する声が多い。しかし、「衆参ねじれ国会」の現状で法人課税引き下げを主張すれば、「企業エゴ」ととられかねないため戦術転換したようだ。
経団連は10月以降、自民党や民主党の税制調査会幹部らに対し、悲願である「法人課税引き下げ」の旗をいったん降ろし、消費税率引き上げを主張する方針を説明している。経団連の大橋光夫税制委員会共同委員長(昭和電工会長)は同日のシンポジウムで「『経済界は、消費税を上げた財源で法人税を下げることを考えているのではないか』という誤解が生じている」と述べた。
[2007年11月27日22時20分 読売新聞]
「ねじれ国会」では法人課税引き下げを主張すると「企業エゴ」と取られるので戦術を変えたのだそうです。
国会がどのような状況でも、そういう主張は「企業エゴ」のような気もしますが、まあいいでしょう。
昭和電工会長の大橋氏もなかなか微妙な発言をしています。
「経済界は、消費税を上げた財源で法人税を下げることを考えているのではないか、という誤解が生じている」と述べたということです。
誤解ですか?
誤解ではないという証拠を挙げてみましょう。
今年の10月2日に行われた政府税制調査会の会合後、会見で井堀東大教授が発言した内容を以下に見てみます。
法人税減税の財源、消費税増税も有力な選択肢=井堀・政府税調委員
2007年 10月 2日 19:04 JST
経団連のお友達である政府税制調査会の御用学者さんが、「法人課税の軽減は経済活性化に役立つ」として、「消費税を上げ、企業減税をすることも有力なオプションだ」と確かに言っていますね。
これこそが、経団連の望む政策でもあるはずです。
ところで、この学者は「法人課税の軽減は経済活性化に役立つ」と言いますが、これは本当でしょうか。
現在の日本は一部を除いて経済状態が良いとはいえないと思います。
ということは、この学者さんの意見に従うと、これはまだ企業の負担が重いからであって、法人課税の減税が必要だということなのでしょうか。
この「企業の負担」ということに関しては、この学者さんも所属する政府税制調査会が11月20日に出した答申で触れられています。
その要旨が毎日新聞にありましたので、その部分だけ一部抜粋して紹介します。
08年度税制改正:政府税調答申(要旨)
2法人課税
(2)法人実効税率
この問題を検討するに当たり、当調査会は、07年度の税制改正に関する答申を踏まえ、課税ベースも合わせた実質的な企業の税負担、更に社会保険料を含む企業の負担の国際比較を行った。また、企業減税による企業部門の活性化が雇用や個人の所得環境に及ぼす影響等についての調査・分析を行った。課税ベースや社会保険料負担も考慮した企業負担については、モデル企業をベースとした試算において、我が国の企業負担は現状では国際的に見て必ずしも高い水準にはないという結果も得た。こうした点を踏まえつつも、法人実効税率の引き下げについては、当調査会の議論において、法人課税の国際的動向に照らして必要であるとの意見が多かった。この点については、今後、厳しい財政事情の下、課税ベースの拡大を含めて対応する必要がある。また、それまでの間においても、経済活性化に向けた不断の取り組みが必要であることは言うまでもない。
[2007年11月21日 毎日新聞]
政府税調が企業負担について試算をしたところ、日本の企業負担はそれほど高くないという結果が出たそうです。
そういう現状でも日本の経済はそれほど良くないわけです。
さらに法人課税を減税すれば良くなるのか。
井堀教授は「YES」と答えるのでしょうが、それはかなり怪しいと思います。
それよりも、この国の企業負担は国際的に見ても高くないということですから、減税よりも増税がよろしいのではないでしょうか。
最初に引用した記事にあるように、経団連の会長自身が財政再建のための増税の必要性を訴えているのですから。
聞くところによりますと、会長さんのところもかなり儲かっているそうですから、国の財政再建のために減税などというケチなことは言わずに、率先して税金を払っていただきたいものです。
バリバリ稼いで、どんどん税金を納める。
そうすることが真の愛国者として、尊敬を集めることになるのだと思います。
愛国者といっても、会長さんのところは半分外資でしたね‥‥。
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