「カイカク」よりも「丸のみ」を
母子家庭に支給される手当の一つに児童扶養手当というものがあるそうです。
この手当は来年の4月から、条件によっては半分まで減らされることが決まっていました。
これに対して民主党は、手当の削減を止め、今まで通り支給することを求めて、児童扶養手当法の一部改正案を国会に提出する方針を固めました。
11月14日のことです。
児童扶養手当削減、民主が撤廃法案提出へ
民主党は14日、児童扶養手当法の一部改正案を今国会に提出する方針を固めた。児童扶養手当は母子家庭に支給されているが、政府は来年4月から、受給後5年を超える場合、手当を最大半分まで減らす方針。民主党案はその撤廃を求める内容で、必要とする財源は約160億円としている。同党の今国会提出法案は10本目。
児童扶養手当は現在、所得に応じて月額約1万~約4万2000円が支給されている。ただ、来年4月以降、子どもが3歳になってから5年以上受給している世帯は最大で半額減額される。
これに対し、民主党は、手当削減の代わりに政府が力を入れるとしていた生活の自立支援のための就業支援事業が進んでいないことを理由に、「依然として母子世帯は厳しい状況に置かれている」として、手当削減の撤廃を求めることにした。
[2007年11月14日22時18分 asahi.com]
政府は、手当削減の代わりに就業支援に力を入れると言っていたわけですが、民主党はそれが進んでいないとして、手当削減の撤廃を求めるということです。
民主党のこの動きに、公明党が反応したようです。
翌日の11月15日のことです。
児童手当削減、公明が事実上の完全凍結案
来年4月に予定されている母子家庭を対象にした児童扶養手当の削減について、公明党は15日、削減の対象者を「健康なのに就労せず、働く意欲もない母親」に限定する方針を固めた。こうした母親は極めて少ないとみられ、事実上の完全凍結に近い内容だ。自民党と最終調整し、今月中に与党案を決める。
児童扶養手当は、所得に応じて月額9850~4万1720円(児童1人の場合)が支給されているが、02年度の児童扶養手当法改正で、受給後5年を超える場合、08年4月から手当を最大半分まで減らすことが決まった。
だが、福田内閣の発足に伴う自公の連立政権合意で、削減凍結の検討が盛り込まれた。公明案でまとまれば、必要な財政負担は160億円程度。
民主党も手当削減を撤廃する改正案を今国会に提出する方針だ。
[2007年11月16日06時13分 asahi.com]
公明党の案は、条件は付いていますが極めて少数で民主党案とほとんど一緒です。
それは、必要な財源が約160億円と同じであることからも明らかです。
こういうことを「丸のみ」というのでしょうか。いや、正確に言えば、「ほぼ丸のみ」ですか。
いずれにしろ、この児童扶養手当法の改正が行われたのが02年度ということですから、これこそまさに「小泉カイカク」の成果なのですね。
そして、このように「カイカク」の成果が出てくるのは、これからが本番なのです。
本当にロクなことをしません。
逆に、福田内閣は「カイカク」の修正も場合によっては行うということですから、これもその一つの例なのかもしれません。
ということで、自民党は公明党の案を「丸のみ」するそうです。
11月16日のことです。
母子家庭手当、削減せず…自民・公明が一致
自民、公明両党は16日、政府が来年4月から予定していた、母子家庭に支給する児童扶養手当の一部削減策について、事実上、無期限で凍結することで一致した。
政府は年内にも政令により削減の凍結を閣議決定する見通しだ。
児童扶養手当は、18歳までの子供を育てる母子家庭に、世帯の収入に応じて月9850円~4万1720円を支給する制度。母子家庭の就労による自立を促す目的から、受給期間が5年を超える世帯は、08年4月から手当を最大で半減することが決まっていた。
母子家庭の3割にあたる約30万世帯が削減対象となり、年約160億円の予算が抑制できると試算されていた。
今回の与党の凍結案では「母子ともに健康であるのに、就業意欲がない者」に限定して手当の削減を行うが、母親がハローワークで求職中であるなど「就職意欲がある」と認められれば手当は満額支給される。
政令が再び改正されない限り、凍結は無期限で続く。
[2007年11月17日0時57分 読売新聞]
与党は国会で審議したくないからか、政令で手当の削減を凍結するということです。
それでも、民主党が提出しようとしていた法案が、ほぼそのままの形で政令としてまとまることになりそうです。
それはわずかに2日間の出来事でした。
与党としては民主党にポイントを稼がれたくないという思いがあるのでしょう。
それも参議院選挙で民主党が勝ったことの効果です。
当然のことですが、「ねじれ国会」という状況でも、国民が支持するような法律は通るのです。
結局、今回は与党が民主党の案をほぼ「丸のみ」することで、児童扶養手当の削減は凍結されることになるようです。
「ねじれ」・「丸のみ」・「バラマキ」など、政治の世界では否定的な意味で使われる言葉があります。
ただ、その良し悪しは内容で判断されるべきで、言葉だけで判断することはできません。
少なくとも、今回の「丸のみ」は妙な「カイカク」よりも、はるかに高く評価できます。
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