2008年4月23日 (水)

匿名が実名に変わる時

昨日広島高裁で出された、いわゆる光市母子殺害事件の差し戻し審判決は死刑でした。
この差し戻し審が行われた経緯からして、死刑判決が出ることは容易に想像できたわけですが、そういうことも含めて、この事件の裁判についての私の考えなどは既にこのブログでも何回か取り上げており、
光市母子殺害事件というカテゴリーにまとめてありますので、お時間のある方はぜひお読みになって下さい。


ということで、この裁判の死刑判決は、いかにも既定路線そのままという感じで、死刑判決が出された後でも何かを書きたい欲求などあまり湧いて来ないのですが、この裁判に対する現在の私の考えに非常に近い文章を見つけましたので、以下に紹介しておきたいと思います。
それは本日、4月23日の東京新聞の社説
「母子殺害判決 重い課題が残された」です。

********************

被告に対する量刑ばかりに関心が集まり、基本的問題が十分論議されなかったのは残念だ、と社説は述べています。
その基本的問題として、「被害者感情と刑罰の重さの関係」「死刑存廃」「刑事弁護の意義」の三点を挙げています。


まず第一に、「被害者感情と刑罰の重さの関係」として、遺族の憤りは理解できるとしながらも、被害感情を量刑に直接反映させると裁判が復讐の場になりかねないと危惧しています。

第二に、国際的な死刑廃止の流れを無視するかのように、死刑について真剣な議論がないまま近年、死刑判決が増加しているこの国の現状を問題視しています。

第三には、「刑事弁護の意義」として、どんな凶悪事件の被告にも適正に裁かれる権利があり、それを守る弁護活動が被害者感情、市民感覚と合致しなくても、封じることは許されない、と述べています。

********************

至極当然の三点ですが、三つともこれまでこの国では真剣に議論されたことはほとんどなかったと思います。 
奇しくも今回の裁判で明るみに出されたこれらの点が、今後充分に議論されたら良いとは思いますが、これまでの傾向からして、あまり期待はできないのでしょうね。


最後に、この裁判を取り上げるときに忘れてはならないのがマスメディアの報道です。
今さらあれこれ言うつもりもありませんが、気になる点を一点だけ。

報道によりますと、昨日死刑判決を出されたのは元少年です。
つまり、マスコミでは未だに匿名の報道が続いているわけです。
昨日聴いたラジオの番組では、評論家の宮崎哲弥氏が「最高裁で死刑が確定すると実名で報道するようになる」と発言していました。

そうだとすると、今はまだ被告の人権に配慮する必要があるが、死刑が確定すればその必要がなくなるということでしょうか。
おそらく、何か決まった基準があるものと思いますが。

いずれにしても、高裁とはいえ死刑判決が出されてもなお、被告を匿名で報道し続けるマスコミには少し違和感を覚えます。
若しくは、マスコミが匿名報道せざるを得ない被告に死刑判決を出す裁判所が少しおかしいのでしょうか。


この際、マスコミ報道についても真剣に議論される必要があるように思います。

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2008年3月11日 (火)

都民の税金で責任回避

マイクロソフトのビルゲイツ会長には6兆円もの資産があるということです。その資産の中から1000億円をどのように使おうと彼の自由です。
もし彼が、それを貸し倒れを覚悟の上で、資金繰りに困った中小企業に貸し出したとすれば、一つの美談といえるかもしれませんが、それを東京都が税金を使って行うとすれば、貸し倒れが美談になることはあり得ません。

もちろん、石原慎太郎都知事が自らのアイデアで創めたという新銀行東京の話です。
既に出資した1000億円が危険な状況になっているだけではなく、彼は、さらに400億円の追加出資を求めて、都議会の理解と協力を要望しています。
もっとも、彼の場合は要望というよりも、脅しに近い口調ではありますが‥‥。


新銀行東京:清算なら新たに千億円必要 野党は反対姿勢

経営不振に陥った「新銀行東京」について東京都は11日、事業清算した場合に預金の一斉払い戻しなどに対応するため、新たに都から1000億円の貸し付けが必要になるとの見解を示した。都議会予算特別委員会で明らかにした。都は再建のため400億円の追加出資を検討しているが、清算すればそれ以上に多額の公費投入が必要になるとするもので、石原慎太郎知事は追加出資について「伏してでも理解と協力をお願いしたい」と訴えた。

一方、野党側は「多大な累積赤字を抱えている負の遺産しかない銀行であり、再建しても中小企業の支援を果たせるとは思えない」と反対姿勢を明確にした。

同委員会で都側は、事業清算が決まった場合に「取り付け騒ぎ」が起こる恐れがあると説明。新銀行の預金残高は約4000億円だが、有価証券などすぐに現金化できる流動性が高い資産を処分しても約1000億円が不足し、この分を都の貸し付けで補う必要が出るという。仮に破綻(はたん)処理が行われ、1000万円超の預金が保護されないペイオフの対象となるのは法人・個人で計9610件、477億円に上るとしている。

さらに、都は同委員会で、09年3月期に新銀行の自己資本比率が国内営業基準(4%以上)を切るとの見通しを示した上で、追加出資400億円の根拠を説明。内訳は▽自己資本の維持に必要な80億円▽貸し倒れ引当金だけでは補えないリスク対応に必要な280億円▽風評による損失などのリスクへの備え40億円などとした。

都は、07年12月の融資先の中小企業約1万3000社のうち、5635社(約43%)が赤字・債務超過企業であるとし、新銀行がなくなればこれら企業の破綻につながると指摘。従業員や家族などに多大な影響を与えるとも主張した。【木村健二】

[毎日新聞 2008年3月11日 19時53分]


都道府県の情報公開ランキングで失格している東京都も、この問題では追加出資を求めるために、さまざまな情報を出してきています。
もっとも見積もりの数字などは、当てにできないとは思いますが‥‥。

この問題の一番の責任者が石原都知事であるのは、本人がどんなに責任を回避しても、当然のことです。
ただ、今はそのことには触れないでおきます。


当時、銀行が貸し渋りをしていた中小企業を救済するために融資を行い、経済を活性化させるというのは、それ自体は悪くない考えだったかもしれません。
しかし、その後も日本の経済が停滞を続けたため、新銀行東京の融資が不良債権化していったとも言えます。
ある意味で、自公政権の経済無策の被害者なのかもしれません。

それでも、他の銀行が融資しない中小企業に貸し付けるということは、当然、貸し倒れの危険性が高いはずです。
そのくらいは誰でもわかります。
ということは、新銀行東京は最初から儲けるつもりがあったのかどうか、私には甚だ疑問な訳です。


つまり、この銀行を設立する目的が、中小企業に融資するためと言いながら、都民の税金をどこかに還流させたり、ある特定の企業を救済するためだったのではないか、などと勘繰る声が出るのも仕方がないかな、と思います。

先ほどテレビのニュースで、他の銀行が預金に0.1%以下の金利しか付けていなかった頃に、新銀行東京は1%もの金利で預金を集めていたとのことです。
これで、あまりにも早く破綻をすれば、預金者にとってはほとんど詐欺のようなものです。
石原氏も自分の任期中は何としても、逃げ切りたいのでしょう。


今や、1000億円が風前の灯です。
石原氏は、自分が逃げ切る時間を稼ぐために、さらに400億円を使おうとしています。
それが自分の金であれば、私も文句は言いません。
ただ、そのお金は都民の税金なのです。


アメリカではビルゲイツ氏が6兆円もの資産を持っているそうです。
日本でも、石原慎太郎氏クラスになれば、1000億円程度はポケットマネーでしょう。

でも、自分のものは舌も出さない‥‥‥か?

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2008年3月 6日 (木)

究極の自己責任

小泉内閣の頃からでしょうか、自己責任という言葉がよく聞かれるようになりました。
全ての国民が全ての行動を自己責任で行えれば、それはそれで良いのかもしれませんが、生活を続けていく中で、さまざまな点で公的な補助が必要になることがあるものです。

それに対して、国や自治体などが自己責任という言葉で突き放した場合、どのような事態が考えられるでしょうか。
その一例のような事件が今日の毎日新聞に載っていました。


殺人:妻子3人を絞殺か 「生活困窮」遺書残し男性重傷--浜松

5日午前10時15分ごろ、浜松市東区小池町の配管工、大岡直樹さん(43)方2階寝室で、一家4人が布団に並んで倒れているのを知人の通報で駆けつけた静岡県警浜松東署員が見つけた。妻の美容師、木綿子さん(41)▽長女で市立与進北小4年、日菜乃さん(10)▽長男で同1年、拓実君(7)--の3人が死亡し、大岡さんも重傷。大岡さんは殺害を認め、同署は大岡さんから殺人容疑で事情を聴く。

調べでは、3人の首には手で絞められたような跡があり、大岡さんが書いた「生活に困窮し行き詰まった」という内容の遺書が見つかった。【平林由梨】

[毎日新聞 2008年3月6日 東京朝刊]


これは生活苦による一家心中事件だと思われます。
もちろん、この国の政府や自治体が「生活困窮者は死ね」といっているわけではありません。
それでも、現在の日本では、生活が苦しくなると一家心中をするというのが選択肢の一つであるのは間違いないようです。


もう一つ、悲惨な事件が同じ3月5日にありました。
こちらも毎日新聞から引用します。


殺人:寝たきりの妻を絞殺、87歳夫を逮捕 千葉・鴨川

寝たきりの妻を絞殺したとして、千葉県警鴨川署は5日、同県鴨川市京田の無職、岩波武容疑者(87)を殺人容疑で緊急逮捕した。 

調べでは、岩波容疑者は同日午後4時ごろ、自宅寝室で眠っていた妻ゆうさん(82)の首を浴衣の腰ひもで絞めて殺害した疑い。ゆうさんは13年前の交通事故の後遺症で寝たきりで、岩波容疑者も昨年から介護疲れで体調を崩していたという。調べに「家族にこれ以上、迷惑を掛けたくなかった」などと供述しているという。

岩波容疑者は▽ゆうさん▽息子(58)▽中学生の孫(14)の4人暮らしで、帰宅した息子が同署に通報した。【神足俊輔】

[毎日新聞 2008年3月6日 東京朝刊]


こちらは、介護に疲れた87歳の夫が寝たきりの82歳の妻を殺したという事件です。
誰しも長生きはしたいものですが、87歳まで生きてきて、殺人犯になるというのも哀しいものです。

介護に疲れたお年寄りが殺人者になってしまう社会。
我々は今、そういう国に住んでいるのです。


おそらく、事件のような生活苦の一家や介護に疲れた老人が頼るべき何らかの制度は、国や自治体に用意されているのかもしれません。
それでも、そういった情報が必要とする人々に行き渡らなければ何もないのと同じことです。
まして、自己責任などという言葉が権力者側から発せられてしまえば、国民が社会に対して絶望してしまうのもやむを得えないことでしょう。


一家心中や妻殺しは決して褒められることではありませんが、家族や夫婦を一つの組織として見ると、その自己責任の取り方としては究極のものであるのかもしれません。

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2008年2月27日 (水)

死刑に定年はない?

興味深い裁判の記事がありました。
この裁判の被告人は強盗殺人で2人の命を奪ったとして起訴され、一審判決では無期懲役となりましたが、今日の控訴審の判決では死刑が言い渡されました。


被告に逆転の死刑判決 広島・岡山2人殺害事件控訴審

現金を奪う目的で広島、岡山両県で一人暮らしの高齢者2人を殺害したとして、2件の強盗殺人罪などに問われた住所不定、無職片岡清被告(76)の控訴審判決が27日、広島高裁岡山支部であった。小川正明裁判長は「確定的殺意を抱いていたことは明白だ」と指摘。広島の事件に関して殺意を認めずに無期懲役とした06年3月の一審・岡山地裁判決を破棄し、死刑を言い渡した。閉廷後、弁護人は「上告を検討する」と述べた。

判決などによると、健康器具のローンの返済に困った片岡被告は03年9月28日夜、広島県東城町(現庄原市)の無職村田ミサオさん(当時91)宅に金銭目当てで侵入し、村田さんの首を絞めて殺害。金目のものを探したが見つからず、そのまま逃走した。さらに、04年12月10日夜には、パンクした自動車の修理代やガソリン代を奪おうと、岡山県井原市のそば店店主片山広志さん(当時76)宅に侵入。片山さんの頭などをバールで数回殴って殺害し、現金約5万円の入った財布を奪った。

一、二審で争点になったのは広島の事件における片岡被告の殺意の有無だった。片岡被告は捜査段階と初公判で殺意を認めたが、一審公判の途中で「首を絞めた後、『落ちた(気を失った)』と思い、すぐ手を離した」と否定した。

一審判決は、広島の事件での殺意を認めず、強盗致死罪にあたると判断。「重大な犯行だが、矯正が全く不可能とまでは言えない」として無期懲役を言い渡し、検察側が控訴していた。

控訴審で検察側は、「犯行の下見をした際に被害者に顔を見られており、殺すつもりで1分以上、両手で首を絞めた」と改めて強盗殺人罪が成立すると指摘。これに対し、弁護側は「当初は被害者を脅して金を借りようと思っていた。騒いだ被害者を黙らせようと思い、片手の指で数秒間、首を絞めただけだ」として殺意や計画性を否定していた。

小川裁判長はこの点について、「被告は被害者が抵抗しても、2~3分にわたり首を両手で強い力で絞め続けた。その後も救命救護の措置を取らず、毛布を頭からかぶせ金品を物色した」と述べ、殺意を認定した。

[2008年02月27日12時11分 asahi.com]


強盗殺人を2件犯した被告人に対する刑罰として、無期懲役と死刑のどちらが妥当か、またはそれ以下の有期懲役が選ばれるべきかは事件の内容によるでしょう。
当然、一概には言えません。
それにしても、この事件の裁判には、裁判というものに関して考えさせられる点がいくつかあります。


まず最初に、2年前の一審判決は「(被告人は)矯正が全く不可能とまでは言えない」として、無期懲役を言い渡しました。
当時既に70代半ばという年齢の被告人に対して、矯正の可能性に言及して無期懲役という判決はどうなのでしょうか。
何とも言い難い微妙な判決という気はします。
これに対して、検察側はその判決を不服として、死刑判決を求めて控訴したわけです。


次に、控訴審の判決がまた微妙です。
引用した記事によりますと、控訴審では検察側は「殺すつもりで1分以上、両手で首を絞めた」と殺意があったことを指摘しています。
そして、判決で裁判長は「2~3分にわたり首を両手で強い力で絞め続けた」として、殺意を認定しました。
なぜか裁判長は検察側が主張する以上に強く殺意を認定しているように思えます。

その殺意に関して被告人は、初公判以降は否定しているということです。
にもかかわらず、この裁判長は確信があるかのように殺意を認定して、死刑判決を出しました。
裁判官というのはつくづく立派な方なのだな、と感じます。


最後に、刑罰も多少は年齢を考慮した方が良いのではないでしょうか。
この裁判では、70代半ばの被告人に一審で無期懲役の判決が出ました。
それを検察側が不服として控訴しました。
良く使われる表現ではありますが、分かりやすく言いますと、検察の目的はこの被告人を死刑にすることだということです。

弁護人によると、最高裁に上告するようです。
判決が確定する頃、被告人は80歳近くになっているでしょう。
無期懲役でもそれほど変わらないように思いますが、検察はそれでも死刑を求め続けるのでしょうね。


まあ、検察も鳩山法務大臣のことを少しは考えてあげて下さい。
いくら死刑を執行しても死刑囚が減らないじゃないですか‥‥。

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2008年1月29日 (火)

子供の笑顔と老人の涙

1月27日に投開票された大阪府知事選挙は、子だくさんのタレント橋下徹氏が当選しました。
自画自賛しますが、私の予想通りでした。
12月18日の記事
知名度の差は致命的かで、危惧したとおりの結果になりました。

橋下氏が勝った最大の要因は知名度でしょうが、忘れてならないのが公明党の存在です。
私が12月18日に記事を書いた時点では、公明党が橋下氏を支持するのかどうか決まっていませんでしたが、府連レベルで公明党が橋下氏を支持することが決まった時に、この選挙の結果も決まったのではないでしょうか。
選挙後のある調査によると、公明党支持者のうち95%までが橋下氏に投票したといいますから強力です。


去年の4月に行われた東京都知事選挙では、現職の石原氏が浅野氏に112万票の差をつけて勝ちました。マスコミではこれを石原氏の圧勝と言いましたが、私はそうは思いません。
東京には70~80万票程度の公明党の票がありますから、石原氏といえども公明党の協力なしには勝てなかったともいえます。

今回の大阪府知事選での橋下氏と熊谷氏の票の差は約89万票ですから、45万票が橋下氏から熊谷氏に流れれば逆転していたわけです。
大阪の公明党の票がどのくらいあるのか定かではありませんが、いずれにしろ知名度のある候補者といえども、今や公明党の協力は欠かせないという状況なのは間違いのないところです。


ところで、橋下氏については彼の日頃の言動から、知事としての資質を疑問視する声が少なからずありましたし、私もかなり疑問に思っています。
ただ、今後重要なのは、今までに何を言っていたかではなく、これから知事として何をするのかということです。

タレントとしてテレビで毒を吐くのはある程度自由ですが、知事として同じ発言をするわけにはいかないでしょう。
このあたりの立ち回りは上手そうですから、案外うまくやっていくかもしれません。

東国原宮崎県知事と同様に、テレビを利用して大阪のセールスマンとしての価値は高そうです。
もっとも、今さら大阪にセールスマンが必要かどうかは微妙なところですが‥‥。


また、今回の選挙でバックに自民党と公明党がついてしまいましたから、知事としては大したことはできないでしょう。
大阪府の財政も厳しいようです。
そして、福祉予算は削られるのでしょう。
橋下氏の公約からして、子供関係の予算は削れませんから、お年寄りが泣きを見ることになるかもしれません。


子供が笑い、お年寄りが泣く。
そんな大阪になっていくのでしょうか‥‥。

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2008年1月12日 (土)

国民だけが止められる

いまさらですが、この国は民主主義国なのでしょうか。
少なくとも欧米でいわれるような民主主義でないのは明らかです。
最終的に多数決はやむを得ないとしても、自公の議員たちが事態の重大さを認識していないところに恐ろしさを感じます。


補給支援法が成立 57年ぶり、衆院再議決
 

今国会の与野党攻防の最大の焦点だった補給支援特別措置法が11日、参院本会議での否決後、衆院本会議で再議決され、自民、公明両党などの3分の2以上の賛成で可決・成立した。憲法59条の規定に基づき、参院で否決された法案が衆院で再議決されて成立したのは57年ぶり。政府は来月中旬にもインド洋での給油活動を再開する。民主党など野党は再議決を批判したが、首相の問責決議案提出は見送り、対決は18日召集の通常国会での予算案や予算関連法案を巡る攻防に移る。

福田首相は「我が国が『テロとの闘い』に再び参加できることは誠に意義深い」との談話を発表。再議決という異例の手段について「例外的といえば例外的」としながらも、「国会状況からやむを得ない」と記者団に語った。

同法は11日午前、民主、共産、社民など野党が多数を占める参院本会議で、賛成106、反対133で否決された。しかし、衆参で議決が異なった場合、衆院で出席議員の3分の2以上の賛成で再可決すれば法律が成立すると規定した憲法59条に基づき、同日午後に衆院本会議で再議決が行われた。自民、公明両党などの賛成が340、反対133で、賛成票が投票者の3分の2にあたる316票を上回ったため、同法が成立した。民主党の小沢代表は採決直前に退席し、投票には加わらなかった。

参院の否決を受けた衆院の再議決は、1951年のモーターボート競走法以来。「直近の民意」を反映した参院での否決を、与党が小泉政権下の05年の郵政選挙で得た3分の2以上の議席で覆したことで、二院制のあり方を巡る議論にも一石を投じそうだ。

与野党の激突で解散総選挙の可能性も取りざたされた臨時国会は、会期末の15日を待たずに、事実上閉幕した。与党は通常国会で、3月末で期限の切れる揮発油税(ガソリン税)の暫定税率を維持するための法案でも「3分の2カード」を使う構えだ。

[2008年01月11日22時32分  asahi.com]


参議院で否決された法案を、衆議院での3分の2を超える数で再議決して成立させる。
これが憲法で認められているといっても、実際に行うかどうかは政治的判断、センスの問題です。

与党は3月で期限の切れる揮発油税の暫定税率を維持するためにも、また再議決をする構えだとのことです。
呆れてものが言えません。
日本の民主主義は終わりました。
もっとも、既に終わっていたという説もありますが‥‥。


安倍内閣はひたすら強行採決を連発しました。
安倍内閣時代は、自公政権が衆参ともに過半数を占めていましたから、まともな法案であれば何も強行採決をする必要はなかったはずです。

今の福田内閣は参議院で過半数を割ったために、その強行採決もできなくなってしまいました。
そこで、衆議院での再議決となるわけですが、これも安倍時代と同様でまともな法案であれば再議決などは必要ないのです。
実際、薬害肝炎の被害者を救済する法案は与野党の賛成で通っていますから。

まともな法案は「ねじれ国会」でも通ります。
つまり、再議決しなければならない法案は、どこかに無理があるわけです。
そういう無理を、今後も自公政権は続けるつもりのようです。
衆議院で3分の2を超える議席を持っている自公が、何もかも再議決をしてしまえば、それを止めることは野党にはできません。


今回の再議決の際に、民主党の小沢代表が席を外したことが野党からも批判されているようです。
確かに、それは批判されるような行為だと思います。
ただ、その批判も事の重大さを見失うことがあってはいけません。

誤解を恐れずに言えば、小沢氏の行動は与党の再議決に比べれば、取るに足りないことだと思います。
それだけ責任の重さが違います。
その責任の重さに応じて批判もされるべきでしょう。


結局、国会で与党が数で勝負に出た場合、野党に勝ち目はないのです。
そういう強権的な自公政権を止められるのは、今後は再議決は許さないという国民の意識しかないのだと思います。

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2008年1月11日 (金)

三倍の負担はかなり厳しい

久々の更新です。いつの間にか年が変わっていました。
年末に怪我で入院した父親が、一時心臓発作を起こして内科に転院するなど、忙しい年末年始を過ごしていました。

ただ、実際はブログを書く時間がなかったわけではなく、自分の体調もあまりすぐれないこともあって、書く気力が湧かなかったというのが正直なところです。
政治批判などは、自分自身と周囲の人たちの健康があって初めて書けるものではないかと思います。


更新が滞っている間にも、多くの方々にアクセスをしていただきました。
また、喜八さん、うみおくれクラブ・ゆみさん、kaetzchenさんからは暖かいコメントをいただきました。
そして、多くのトラックバックをくださった方々にも感謝致します。
皆様、どうもありがとうございます。


さて、入院している父ですが、おかげさまで快方に向かっており、物につかまれば歩けるくらいになりました。うまくすれば、今月中に退院できるかもしれません。

今回、入院や転院の手続きなどはほとんど私がやったのですが、つくづく思うのは、老人の場合の医療費の窓口負担が一割、というのが本当に助かるということです。
当然のことですが、三割負担ですと自己負担が三倍になりますから大変です。
もちろん支払総額が、単純に三倍になるわけではありませんが‥‥。

この国の場合、財政が厳しいという理由で、窓口の自己負担を増やそうとする方向に進んでいます。
そういう政治、そういう政権はもう捨てませんか?
あらためて私の中で、こういう思いが強くなってきました。


最後に、父親の世話や自分の体調などの関係で、今後も更新は不定期になるかもしれませんが、今年もどうぞよろしくお願い致します。

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2007年12月19日 (水)

世界の流れに逆らって

地球は徐々に温暖化しているといわれていますが、今年の日本の冬は結構寒いです。
それでも地球規模で温暖化対策をしなければならない、ということが多くの国で合意されています。
中には温暖化対策に消極的な国もありますが‥‥。

地球規模で進んでいるといえば温暖化のほかにも、死刑制度の廃止、若しくは執行の停止があります。
日本では死刑は当然の刑罰という感覚がありますが、世界中で昨年死刑が執行された国はわずか25カ国にすぎないというデータもあるようです。


孤立深める日本 「死刑停止」の国連決議で

国連が18日、死刑の執行停止を求める総会決議を初めて採択した。「世論の高い支持」を理由に死刑制度を存続している日本は、今年は年間で77年以降最多となる9人の死刑を執行するなど、世界の潮流とは逆行。国際的な孤立を深めている。

「世論には死刑制度や死刑執行にかなりの支持がある。国連の決議があっても我が国の死刑制度を拘束するものでは、まったくない」。決議を前にした18日の閣議後の記者会見で、鳩山法相は語気を強めた。「死刑を存続するかしないかは内政の問題だ」という政府の立場を改めて強調するものだ。

凶悪犯罪に対して厳罰を求める声を背景に、このところ日本では死刑執行のペースが上がる傾向にある。鳩山法相は今月7日、3人の死刑を執行した。前任の長勢法相の執行人数も在任10カ月余の間に10人を数えた。鳩山法相の「死刑自動化」発言をきっかけに法務省内に執行のあり方を検討する勉強会ができたり、執行対象者の氏名を公表したりする動きはあるが、執行停止や制度廃止に至る論議は低調だ。

[2007年12月19日12時28分 asahi.com]

  • 日本の世論が死刑制度や死刑執行にかなりの支持がある
  • 国連の決議があっても日本の死刑制度を拘束するものではない
  • 死刑を存続するかしないかは内政の問題

鳩山法相のこれらの発言は全て仰る通りなのですが、これではなぜ日本政府が死刑を続けているのか説明になっていないと思います。

つまり、世論の支持や国連の決議はそれなりに意味はありますが、政府がそれらに縛られる必要性があるわけではありません。
ということは、死刑存続は政府の意志であるというわけですが、鳩山法相はその理由を語ってはいません。


いろいろなブログなどで見る限り、死刑に賛成している人々のその理由は、ほとんどが被害者やその遺族感情を考えてのことのようです。
人の命を奪ったものは自らの命を以て償え、ということだと思いますが、本当に死刑という方法を選ぶしかないのでしょうか。

現在のこの国では、遺族に代わって国が敵討ちをして、それだけでおしまいという感じがしますが、既に死刑を廃止している国々が、遺族感情のケアや金銭的な補償などをどのようにしているのかを調査・研究し、死刑以外の方法も考えてみることも必要なのではないかと思います。
少なくとも、それが今の世界的な流れです。


私は死刑には反対だと以前から表明していますが、死刑反対派の中では過激派(というものがあれば)に属すると思います。
というのは、刑事訴訟法475条では、死刑は判決確定後、法務大臣の命令により6カ月以内に執行することが定められていますが、現実に6カ月以内に執行される例はないようです。
つまり、法務大臣が法律を守っていないのですが、私はこういう法律がある以上6カ月以内に執行すべきだと思います。

それではなぜ、法務大臣は6カ月以内に執行命令を出さないのでしょうか。ぜひ、納得のいく説明を聞いてみたいものです。
もし、どうしても6カ月以内にできないのであれば、法律を改正しておくべきでしょう。法務大臣による法律違反の状態はまずいですから。
いずれにしても、多くの法務大臣にとって、死刑の執行はできれば避けたいことなのだと思います。

冒頭にも書きましたが、昨年死刑を執行した国は25カ国だそうです。
その中には、日本も含まれています。
日本政府は最後の1カ国になっても死刑を存続させるつもりでしょうか。


もし、そこまでの決意があるのなら、ある意味で尊敬してしまいますが‥‥‥。

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2007年12月18日 (火)

知名度の差は致命的か

来年の1月に大阪府知事選挙が行われますが、12月1日の記事立つのは弁護士か司会者か予想した通り、某弁護士が立候補することになりました。
そして本日、彼は自民党と公明党に推薦してもらうために、公約の原案というものを発表しました。


「子どもが笑う」「職員が汗をかく」 橋下氏が公約原案発表

来年1月10日告示、同27日投開票の大阪府知事選で、弁護士でタレントの橋下徹氏(38)は18日午前、「子どもが笑う」などをテーマにした公約原案を発表した。子供が育ちやすい環境にするため、低・中所得者のために出産補助や子供がいる世帯の公営住宅家賃減額などで集中投資する一方、府の出資法人すべてを民営化するなど財政再建することも盛り込んだ。今後に数値、年次目標を入れて告示までに完成させる。

発表した原案は「私の大阪元気プラン」。橋下氏は「すべてに数値目標を設定するのは不可能で、マニフェストではない」としている。大阪を特徴づけるために「子どもが笑う」「職員が汗をかく」をテーマに挙げた上で、活性化のための産業施策は、知事が行政権限がある大阪市などにプランを説明し、府内で広く実行するとしている。

具体的政策では、子供の成育や教育環境を整えるために、子育て、教育に集中投資し、出産や産科医への補助、子供がいる世帯の公営住宅家賃の大幅減額、府立高校の学区制撤廃などをあげた。さらに、職員については、若手職員らを集め、成果が出れば、「大胆な昇進を行う」とした。このほか、知事の退職金50%減額などを掲げている。

橋下氏は「高齢者ら社会的弱者の予算が減るかもしれないが、それは仕方ない。大阪を元気にすることを目標にした」と話した。

一方、橋下氏は同日午前、公明党府議団と面会し、原案を説明した。自民、公明に推薦を求めており、午後には自民党府議団とも会い、同様に政策調整する。今後も自公と協議を重ね、公約を完成させるが、推薦できるかどうか事実上の“面接”にもなっているといえそうだ。

[2007年12月18日12時04分 産経新聞]


橋下氏は「高齢者ら社会的弱者の予算が減るかもしれないが、それは仕方ない。」と言っています。大丈夫ですかね、この人は。
民営化を進め、弱者に対する予算を削る。
これではまるで「小泉カイカク」ですね。
この人は、大阪のコイズミでも目指すつもりなのでしょうか。

また、数年前ならともかく、格差に対する手当をどうすべきか問題になっている今、それも選挙前にこういう発言をするこの人を、自民党・公明党は本当に推薦するのでしょうか。


そもそも、大阪府議会議員レベルでは、自民・公明は民主との相乗りを望んでいたはずです。それだけ与党でいたいという思いが強いわけです。
おそらく今でもできるならば、相乗りをしたいのではないかと思います。

それは、民主党が推薦する大阪大大学院教授の熊谷貞俊氏が意外と強敵になりそうなのでなおさらでしょう。
聞くところによりますと、熊谷氏は学生にも人気があり、地元の経済界にも顔が広いそうです。
橋下氏が立たなければ、自公両党は堂々と熊谷氏に相乗りができたのですから、その方が良かったと、かなり多くの人たちが今でもそう思っていると想像できます。


それでも選挙ではおそらく橋下氏が有利だと思います。
それだけ知名度の差というものは大きいです。
私がそのように考えるのは、今年4月の東京都知事選挙の経験があるからです。

早々と出馬を表明していた現職の石原氏に対し、浅野氏が立候補を決めたのは投票日の一ヵ月前でした。
それでも告示前までには、二人の差はかなり詰まっているといわれていました。
しかし、この国の選挙は不思議なもので、告示後、選挙期間に入ると選挙前と違って、全く静かになってしまいます。

その結果として、選挙期間中には知名度の差は縮めることはできません。
まさしく知名度の差は致命的なのです。
そして、今回の大阪府知事選挙の告示前の期間が年末年始にあたることも大きく、マスメディアで政治の話題が取り上げられるのもかなり控えめになるものと思います。
出遅れた候補者が知名度を上げていくのは、かなり難しい状況です。


橋下氏にとって落とし穴があるとすれば、自民党の国会議員達が応援しに行くことでしょうか。
国政でジリ貧状態のこの人たちは何かで実績を上げようと必死ですから、国政選挙並みの応援をすることが考えられます。
そういう状況になれば大阪府民の反感を買うかもしれません。


ぜひ福田内閣をはじめ、自民党には全力で橋下氏の応援をしていただきたいものですね。

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2007年12月17日 (月)

実感した医療崩壊の深刻さ

先週の土曜日、12月15日に父が足に大怪我をして帰ってきました。畑で農作業をしていて機械に触れたとのことで、大量に出血をしていました。
私はその血の多さを見て動転し、「救急車を呼ぼう」と言ったのですが、本人が「近くの外科に行く」と言い張るもので、仕方なく殆ど歩けない父を車の助手席に乗せ、病院へ連れて行くことになりました。

それは土曜日の午後4時頃のことでしたが、行った先の病院は土曜日の午後は休診ということでした。
それでも運よく看護師さんが3人ほどいて、所用で近所に出かけていた院長に連絡をしてくれたおかげで、午後5時頃から手当をしていただくことになりました。
結局、午後7時頃までかかって、両足を全部で60針ほど縫い、2週間くらい入院する必要があるということです。


そこの病院の院長はなかなか面白い方で、待合室に自分の書いた論文を冊子にして置いていて、患者やその家族などが自由に持ち帰れるようにしているのですが、そのタイトルが「自民・公明連立内閣により、老人・低所得者見離しの最悪な医療制度の時代がやってきた。」というものなのです。

内容を一言でいいますと、医療という面からの小泉内閣批判です。
冊子を一部いただいてきましたので、そのうち、このブログで少しずつでも紹介してみたいと思っています。


処置を施していただいた後に、その院長と少しお話をする時間があったのですが、その中で一番印象的だったのが救急患者のいわゆる「たらい回し」のことです。
この話題に関しては、ちょうど12月6日の記事
救急車で何処へ行くで取り上げたばかりなのですが、院長の話によりますと、どうも実態は報道よりも酷いもののようです。

つまり、報道されるのは患者が亡くなったりするような特殊な場合であって、そこまで至らないケースは普通に起こっているようです。
つい最近、院長のところにも20件目くらいに問い合わせがきた患者があって、その患者は浅草から来たのだそうですが、浅草からその病院まではまっすぐ来ても15~20分くらいかかる場所なのです。

また、この院長は体制が整ってさえいれば救急患者は受け入れるとのことですが、一度看護師が一人しかいなかった時に断ると、その患者は最後には越谷の病院まで行ったとのことです。
越谷というのは埼玉県ですし、30分はかかると思います。

院長は、私の父があの怪我の状況で越谷まで連れて行かれたら、「死んでしまうよ」と言っていました。
東京でも運が悪ければ、最早こういう状況のようです。

以前の記事でも書きましたが、これは個々の病院を責めることでは解決しません。
病院の設備や医師、看護師を救急患者のために用意しておかなければ救急車はどこまでも走り続けることになるのです。


いわゆる「たらい回し」は、新聞で読んでいる限りは他人事でした。
それが今回、身近な人間が救急車を利用しそうな状況になり、日本の医療の現状の一端を知ることになりました。


おそらく、この国の医療はマスコミが報道するよりも、かなり深刻な状況になっていることは間違いないようです。

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